Root Beer が好きだ。
残念ながらというか、幸いなことにというか、体内にアルコールを分解する酵素を持っていないため、お酒が飲めない。ワインだろうとビールだろうと梅酒だろうと、アルコール分を含む飲み物は一切受け付けないのだ。
「お酒が飲めないと困ること、結構あるんじゃないですか?」
よくきかれるが、そんなことは全くない。居酒屋でも焼肉屋でも寿司屋でもクラブでも、烏龍茶かペプシがあれば大丈夫。酔っぱらいに囲まれ、朝までワイワイ盛り上がれる。不思議なことに烏龍茶やペプシを飲みながら、相手のペースに合わせてどんどんテンションを上げられるのだ。これは、ある種の特技ではないかと思う。ただし、これは気の合った仲間同士だからで、誰とでもうまくやれるわけではない。
最近、沖縄料理に誘われることが多いのだが、食べ物は別として、嬉しいことがある。それは、どこの沖縄料理店にもルートビアが置いてあることだ。ルートビアは、ビアといいつつもアルコールは含まれていない。コーラと同じようなノンアルコールの炭酸飲料水だ。
ルートビアは、19世紀の中頃からアメリカの家庭で飲まれていた伝統的なハーブ飲料で、そもそもは各家庭で勝手に作られていた。当然、中にはアルコールを含む物もあったわけで、ビアというのは、その当時の名残なのかも知れない。アメリカ人はこのルートビアが大好きで、自販機にも必ず入っている。ファストフード店で飲み物を注文すると、紙コップだけ渡されることがある。店内のディスペンサーから各自勝手に飲み物を注ぐわけだが、この場合も、ディスペンサーには必ずルートビアが設定されている。
現在売られているルートビアは、殆どが日本人に馴染みの薄いリコリスをベースにしているため、日本人の味覚には合わないらしい。その証拠に「ルートビアが好きだ」という人に合ったことがない。どんな味なのかというと、アメリカの風船ガムの味だ。といっても想像出来ない人は、ドクターペッパーに近いと思ってくれていい。ドクターペッパーをもっと甘くし、もっと体に悪そうな味にした物と言えばいい。代表的なブランドとしては、A&W、DAD'S、Shasta などがある。
なぜ沖縄料理店にルートビアがあるのか。それは沖縄の歴史と深く関わっている。アメリカの統治下にあった時代、軍人をはじめとして沖縄にはアメリカ人が暮らしていた。そのため、アメリカ人の好きな飲み物や食べ物が街に溢れ、ルートビアも当たり前のように根付いていったのだ。歴史が文化を生むことを端的に証明しているのが、ルートビアともいえる。
30年近く前、アメ横で初めて DAD'S を見つけて飲んだ時から、ずっとルートビアが大好きだ。

