間接照明が好きだ。
白熱電球しか存在しない時代に生まれたからでもないだろうが、明る過ぎる照明に馴染めない。蛍光灯は色が不自然だし、LED はもっと不自然だ。確かに省エネかも知れないが、あの明るさの下で食事する気にはならない。
小学生の時、勉強机の上のスタンドは蛍光灯だった。新しい物が大好きだった父が買ってきたのだ。最初のうちは明るくて楽しかった。なんでも白っぽく見えるのも新鮮だった。ひょとして、教科書もノートも、本当はこういう色なのかも知れないと思った。しかし、慣れてくるにしたがい、その白さに疑いを持ち始めた。昼間、太陽の下で見る白と、夜、蛍光灯スタンドの下で見る白が違うのだ。なんとなく無機質で冷たいと感じた。同時に蛍光灯に切り替えられた茶の間で食べる刺身の色も、なんだか不味そうに見えた。
そんなわけで、中学へ入る頃には、勉強机の上のスタンドは白熱電球に変わっていた。白熱電球は光が柔らかいだけではなく、色合いに暖かさがある。色合いだけではなく、寒い冬は机に向かっていて、実際に暖かかった。
基本的に夏が好きで、太陽が好きだから、曇っているより晴れている方がいい。目に写る全てがキラキラと輝いていると、それだけで幸せな気持ちになる。しかし、それはあくまで自然の光の下での話だ。夜になってまで明るい必要はない。夜は本来暗いのだから、そこそこの灯りがあればいいのだ。夜になってまで、何から何までハッキリと見せつけられるのは嫌だ。
仄暗い間接照明の中で、見える物と見えない物、微かに姿をのぞかせる物。自分を取り巻くグラデーションの世界が好きなのだ。

