骨董品屋のある町が好きだ。
といっても、僕にとっての骨董品とは、必ずしも Antique というわけではない。どちらかと言えば古道具に近い。古い物の価値は、それを持つ人の価値観によって決まるからだ。誰もが歴史的価値を認める品は、もちろん Antique だろう。しかし、ただ古いだけで、芸術的あるいは歴史的に意味の無い物であっても、持ち主にとって重要な意味のある物は多い。それもまた、立派な Antique であり、金銭的に高いか安いかは問題ではないのだ。だから、僕は立派な構えの骨董品店には、あまり興味が無いのだ。
学生時代、暇にあかせて友人と古道具屋を求め、東京中を歩き回ったことがある。古い家具、電気器具、火鉢、どれも一般的に骨董的価値などないが、そこに使っていた人間の生活が見えてくる。「こんな汚い物を持ち込んで、どうするのよ」と、よく家人に言われたものだ。残念なことに、東京の古道具屋は年々数を減らしている。我が家の周辺にあったいくつかの店も、いつの間にか姿を消し、時間貸しの駐車場や貸店舗になってしまった。
ハワイ島の Hilo が好きなのは、そんな古道具屋が、数多く残っているからだ。1930年代に使われていた薬の瓶、かつて存在した雑貨屋の看板、音の出ないラジオ、店の名前が印刷されたプラスチックのコップ、それを使っていた人たちの暮らしが伝わってくる。見る人によってはゴミが並んでいるかのような店も、僕にとっては宝の箱だ。
観光客で賑わう華やかな Honolulu にも、素敵な宝箱があった。
Waikiki のはずれ、ホノルル動物園沿いに北上し、Kaimuki 方面へ向かう Kapahulu 通り。ビンテージ・アロハで有名になった「Bairy's Antique」や、マラサダの「Leonard's Bakery」のある通りだ。アラワイ・ゴルフ・コース沿いの Date St. と交わる先にある、「PEGGY'S PICKS」がその店だ。店の佇まいそのものが、既に古道具屋化している。
もう東京には存在しないかも知れない、古道具屋の似合う町。
やはりどこか、大好きな Hilo に似ている・・・。

