日々是お気楽-Bang saen



タイ料理が好きだ。


よく、どんな食べ物が好きか、きかれる。きくこともある。食べ物の趣味で、その人のことが少し理解出来る気がするからだろう。

僕の場合、その手の質問を受けると、答に困る。好きな食べ物がたくさんあるからだ。


インド料理、トルコ料理、インドネシア料理、ベトナム料理、スペアリブ、メキシコ料理、イタリアン等々。しかも、なんでもいいわけではない。これらの中にも、特に好きな物や、ちょっと苦手な物が存在する。総じて言えば、エスニック系の食べ物が好きということになるのだろうか。和食と中華には、さほど興味がない。なくても生きていけるだろう。


最近、我が家の周辺にインド料理屋が増殖していることは、前にも書いた。湯島まで生活圏に入れると、それこそビックリするほど、たくさんある。そのうち、全ての店で食べてみようと思う。密かな、そしてささやかな楽しみのひとつだ。

近所にオープンした最も新しい味は、タイ料理。以前居酒屋だった所に、突如出現した。タイ料理の中で、一番好きなのがライスヌードルと焼き飯。ライスヌードルはベトナム料理にもあって、よく食べる。汁ものではなく、焼きそば系が特に好きだ。新しいタイ料理の店は、どちらもおいしい。接客は日本人の親父さんが中心だが、厨房からはタイ語が聞こえてくる。


「あれ?こういう雰囲気、どこかで味わったなァ」


と感じながら、スプーンを取る。一口食べて思った。


「あれ?どこかで食べたことがあるなァ」


食事を済ませ、レジに向かい、納得した。以前行ったお茶の水のタイ料理店と、全く同じデザインのビジネスカードが置いてあったのだ。


「お茶の水にもありますよね?」


「あそこの支店なんですよ」


そういうことか。お茶の水の店では、接客の中心は日本人のおばさんだった。そして、厨房ではタイ語が飛び交っていた。

ひょっとしたら、ふたつの店の親父さんとおばさんは夫婦かも知れない。


リタイア後、夫婦でタイへ移住したものの、やはり日本がいいということでUターンしてきた。しかし、おいしいタイ料理は忘れられない。しかも、老後に向けて何かしなければ生活出来ない。そこで、思いついたのだ。あちらで雇っていた料理人の家族を呼び寄せ、タイ料理店を始めよう!

僕の頭の中には、そんな勝手な物語が出来上がっている…。