ふと目にした光景に足が止まった。
JR日暮里駅をまたぐかたちで作られた、細い歩道橋を渡っていた時のこと。普段、上から見る機会のない駅のホームを、上からのぞいてみたくなった。ホームを見たかったのだが、最初に飛び込んで来た光景に、僕の視線は釘付けになった。
ホームの屋根を支えるため、線路をまたいで立てられた支柱だ。
白いペンキがはげ、赤茶色の錆がむき出しになった太い鉄の柱。よく見ると、それはレールだった。まるでプラモデルのように組み合わされた何本ものレールは、きれいに曲げられ、微妙な角度で、最初から柱にするために作られた素材のようだ。キレイにペイントされていたら、多分、それがかつてレールだったことに、気づかなかったかも知れない。現在の日暮里駅がいつ造られ、古いレールを利用した柱が、いつから使われているのか、僕には判らない。しかし、その支柱がかなり古い物であることは、容易に想像がつく。エコだのリサイクルだのと騒がれるずっと前から、この手の再利用は行われていたに違いない。
考えてみると、日本人は使わなくなった物を再利用することを、極く当たり前にしていた。着物を仕立て直して子供の服を作ったり、布団を綿を打ち直して使い、最後は座布団に作り直したり、当たり前のように行ってきた。電気製品や家具も再利用したり、バラして使える部品だけ集め、他の用途にあてたりもした。もともと、日本人はリサイクル民族だったのだ。いつの間にか、使い捨ての美学にとらわれ、古いから、飽きたからと捨ててしまうようになった。一体、いつの頃からだろうか。
ホームの屋根を支えるレールも、かつてはどこまでも続く鉄路の一部だったはずだ。ペンキがはげ、錆のむき出しになった姿を見ながら、思った。
「東北本線だったのかな…。いや、東海道線だったかもな…」
などと。
