日々是お気楽-Crow


昼過ぎ、カメラを片手に散歩に出た。


玄関を出て、不忍通りへ向かって歩いていると、頭の上でギャーギャーとカラスがうるさい。どこで鳴いているのかと、辺りをうかがってみたが、姿はない。諦めて歩き始めると、またもやギャーギャー鳴く。立ち止まり、本気で探すと…。

居た、居た。M田さんの家の庭の大きな木の上、緑の葉と黒い枝に隠れるように、大きなカラスが留まっている。そういえば、カラスの留まっているM田さんの家の木には、春先、カラスが巣を作っていた。業者がやって来て、はしごをかけ、撤去したのだが、その時の、巣を守ろうとするカラスの攻撃は、鬼気迫るものがあった。まさかあの時のカラスが、巣のあった枝に留まり、悲しみの叫び声をあげているとは思わないが、かなり執拗に泣き続けていた。


昔、料理研究家の小林カツ代さんの番組を担当して時の話だ。たまたま、ニュースの中に、東京都がカラスの駆除に本腰を入れるというのがあった。アナウンサーが読んだあと、カツ代さんに感想を求めると、彼女はきっぱりと言った。


「悪いのはカラスじゃないですよ。カラスが街へ出て来て、ゴミを散らかす環境を作ったのは人間でしょ。自分達がそういう状況を作っておいて、カラスを悪者にするのは間違ってます。カラスは、頭もいいし、かわいい鳥ですよ」


アナウンサーは、「本当に迷惑ですからね」位の、軽い感想を期待していたのだろう。カツ代さんの言葉に何の反応も示さず、黙ってスタジオを出て行った。

カラスは確かにうるさいけれど、人間に害を及ぼす鳥ではない。時折、カラスに襲われたという話を聞くが、何もなければカラスが人を襲うことはない。なんらかの原因があるはずだ。例えば、青い服を着た人間に石をぶつけられたとか、髪の長い人間にエアガンで撃たれたとか、何かあるはずだ。

一度、神社の境内を歩いていて、後ろからカラスに襲われたことがある。どうやら、僕のポニーテールを狙ったようだった。カラスにしてみれば、背中でゆらゆら揺れる髪の毛が、何かの小動物と思ったのだろう。近づいて「レレッ!ちゃうやん」と判ったが、留まりきれずに、僕の後頭部に激突しただけのことだ。


鳥だって、人間だって、楽な方へ流れていく。自分の都合が悪いから、自分が嫌いだからと、簡単に駆除などと言わないで欲しい。


ま、蛇とワニとゴキブリと蚊は、駆除してくれて構わないけどね。