飛行船を見た。
買い物を済ませてスーパーを出ると、頭の上からエンジン音が聞こえる。
鉛色の空を見上げると、飛行船が飛んでいた。曇り空に溶け込むような色合いの、地味な船だ。カメラを向け、思い切りズームにするまで、船体に貼られた文字をを読むことは出来ない。パソコンに取り込んで、初めてボトルがデザインされていることが判った。
子供の頃は、よく飛行船を見た。もっとズングリして、ゆっくりフワフワ飛んでいたように思うが、現代の飛行船は、かなりのスピードで飛んでいく。カメラで捕捉し、ピントを合わせている間にファインダーから消えるので、撮るのに苦労するほどだ。
それにしても、都会の空は狭い。電線が写りこまないようにと、数分間追いかけたが、どこをどう工夫しても何かが入ってしまう。
遮ることのない広く大きな空は、もう、僕の暮らす街には、ない。
