【お弁当】
営業に義彦は、いつも弁当は、出先のコンビニで買った、パンだった。
毎日パンでも平気だった。今日も公園でサンドイッチと牛乳で済ましていた。
晴れたいい天気だ。
義彦は、弁当を食べた記憶がない。母が朝早く港に仕事行く時、テーブルの上に
いつも300円が置いてあった。暮らしは苦しかった。
奨学金で、大学に行った。
母は、無理が祟って、3年前に他界した。母の人生を考えると苦労する為に生れてきたみたいだった。母のような家庭は作りたくない。公務員になろうと密かに勉強している。
民間は定時には帰れない。義彦は、家族揃って夕食をとるのが、夢だった。
「サンドイッチお好きなんですね。」コンビニの店員が話しかけた。
名札を見ると木村と書いてあった。
会社に近い為比較的よく行くコンビニだ。
「そうだけど、なにか悪い。」
「いえ、そういうわけじゃありません。298円です。」
義彦は、お金を払った。
「ありがとうございました。」
屈託のない笑顔で、義彦を見ていた。
「気分悪いな。俺が何買おうと自由じゃん。」義彦は気分を悪くしたが、ひがんでいるように思えてきたので、反省した。
「サンドイッチお好きなんですね。」後から声がして振り返った。
誰だ。義彦は思った。記憶にない。
「お忘れですか。Aコンビニで働いていた。木村です。」爽やかに名乗った。
「なんで君がここにいるの。」
「私、今年度採用なんです。人事課に配属になりました。木村紗江と申します。」
「あのコンビニは」
「学生時代のアルバイトです。そういえば、あれから来られなくなりましたね。」
確かに行かなくなった。大きな声で言われるのが、嫌だった。
「お名前教えて頂けますか。」
はっきりした女だなと思いながら、
「佐藤義彦、営業2課、入社3年目」
「営業2課だったら、同期の吉村君がいますよね。」
「ああいるよ。彼氏なの。」
「とんでもない。あんながさつな男。それにいま彼氏はいません。卒業の時別れました。」
どちらがだよ、義彦はおかしかった。屈託のない子だな。そう思った。
「隣いいですか。」と言う前に座っていた。
「佐藤先輩は、どうしていつもサンドイッチなんですか。コンビニ弁当もあるのに」
義彦は、家庭事情を話した。300円では、サンドイッチと牛乳でぎりなことも。
それ以来、サンドイッチになったこと。他のも考えたが、食べた事がないので、
面倒だったことも話した。
紗江は、真剣に話を聞いていた。
「わかりました。私、佐藤先輩の分もお弁当明日から作ってきます。」
「えっ、いいよ。遠慮するよ。別にそんな中じゃないし。」
「いや絶対つくります。雨の日は机まで持って行きます。」
「ほんとに遠慮するよ。手作り弁当食べたことないし。」
「だから、私が作るんですよ。私じゃダメなんですか。」
「いや、そんな事無いけどさ。」
義彦は、戸惑いながらうれしかった。
(了)
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