12月に入って、急に冬になったんだ。
雪は、そうね当地ではまだね箒で履ける程度かな。
昨日、久しぶりに中古レコードのお店に行ったんだ。
まあまあ、整然とラックに並べられてはいるんだけどね
インデックス通りに並べられているわけでもなく
雑然と収納されているんだよ。
一枚一枚引き出しては確認し
お目当てのレコードがあると
取り出してジャケットの汚れや
レコード面にキズがないか確かめるんだけどね
4枚ほど選んでみたんだ。
大塚博堂
因幡晃
ウフフフ 小林旭
あぁ~ これだ・・・
4枚のLPレコードの中の1枚
それは因幡晃の「暮色」だった
因幡晃のLPレコードは数枚あるんだけど
「暮色」だけには出会うことなかったんだ
以前ブログアップしたことがあるんだけどね
アロエにとって思い出深いLPなんだ
アヤちゃんはセイちゃんのことが
大好きだったんだ
そのことは、みんな知ってたんだ
アロエはセイちゃんとね
よく飲みに行ってたんだけど
ズウッと遠回しに
いや
かつストレートにアヤちゃんの気持ちを
伝えていたと思うし
セイちゃんもそのことは分かっていたんだよ
セイちゃんもその気持ちを受け止めたいと
思っている事は、アロエも感じていたんだ
あれは、お祭りの時だったのか
花火大会の時だったのか
サークル仲間の飲み会があったんだ
もちろん、セイちゃんもアヤちゃんも
そのメンバーの中にいたんだよ
何か、みな妙に盛り上げよと
変に気を使っていたようにも思うんだけど
そうさ
アヤちゃんは胸いっぱい期待いっぱいサ
気兼ねしない仲間たちだから
セイちゃんが、何時告白するか
いまか今かと待っていたんだよ
時は過ぎ
セイちゃんは、一次会で帰ったんだ
みなが
いや何よりアヤちゃんが一番に
待っていた「一言」を言わないまま・・・
おいおい
二次会でアヤちゃんは
えっ・・・
憚ることなく泣いたんだよ
ずぅっと泣き通しだったんだ
言葉もなく
でもね、みんなは
なぜアヤちゃんが泣いているのか
分かっているんだけどね
かける言葉もなく
おいおい、何で泣いてんだぁ~
なんて知らんふりして
無理にでも、踊りに連れだしたり
していたのさ
アヤちゃんは
浴びるほどお酒を飲んだ・・・
歩けないほどお酒を飲んだんだ
そして
家まで送り届けるのは
家が近かったアロエだったんだ
ドアを開け
倒れ込むように転がり込んだ
アヤちゃん
アロエは、布団をひいて
アヤちゃんを横たえたんだ
何故セイちゃんが
その一言を言えなかったのか
アロエは分かっていたんだ
「愛しているよ」
この一言が言えなかったのか・・・
そんな時
アヤちゃんは
アロエに抱き着いてきたんだよ
「アヤちゃん相手が違うよ」
アヤちゃんは、急に泣き出したんだ
アロエはそんなアヤちゃんを
強く抱きしめた・・・
「暮色」をかけて・・・
思うに
このLPレコードには
アヤちゃんそしてセイちゃんの
気持ちが全て詰まっている
アロエは、静かにレコード盤に
針を落とした・・・
そんな
想い出のレコードを目にしたんだ
その一言
セイちゃんもどれだけ言いたかったことか
その一言を
アヤちゃんもどれだけ待っていたことか
その時はね
アロエはセイちゃんを攻めたね
でもね
今になると、少し分かるような気もするんだ
間違いなく
セイちゃんはアヤちゃんが好きだったし
結婚したいとも思っていたと思う
でもね
セイちゃんは分かっていたんだと思うんだ
アヤちゃんを幸せに出来ないってことを・・・
恋は求めるもの
愛は与えるもの
そうだとしたら
帰結できるのだろうか
それは「暮色」の中にあるのかもしれない
チョッピりほろ苦い
でも
青春時代を思う
いい買い物をしたなと思う