左折すると長い坂道が続きました。河渡、松崎線、飛行場道路と並行していることがわかりました。途中に再び踏切が現れます。新潟港駅から先ほど越えた飛行場道路を越え、焼島駅、沼垂駅へ至る貨物線です。新潟鉄工所の新製ディーゼルカーは、この線で信越本線、白新線、越後線へと試運転、配属に旅立って行きました。
「お父さん、はつかりの試運転に乗せてもらったことあるよ。」
「大山町は、新潟鉄工所に勤めている人多いからね。」
教え子のお父さんが、試運転に招待してくれて、その際の記念写真を、汽車好きな私のために現像していただいて来たのだそうです。先頭のキハ80ブルドックの正面に父が写っていました。他に、今では貴重なキハ10系気動車の東南アジア輸出車の走行風景写真もありました。アルバムは、転居続きで現物はありませんが、我が心の宝物です。思い出に飛びましたが、ベンリィちゃん話に戻ります。
「しばらく上るからギアそのままね。」
「うん。グリップしっかり開けて止めているよ。」
ベンリィちゃんは2気筒だから「ドッドッロドッドッロ」という感じです。大地を蹴るようなエンジンの周期を知ると、愛しさが増しました。股間にずっしり響くサウンドに微笑みが溢れました。サウンドの周期に合わせてボタンをフワフワと押し離しして遊びました。カチッカチッというリズムを刻んだ開閉器の音がして、明るさを増したヘッドライトがそれに合わせて仄に点滅していました。
踏切を越えて赤道の交差点までなだらかな坂道を登ります。その先は勾配がさらにきつくなりました。
藤見町から斜めに左折、さらに左折、中学校前道路に入ります。ここは毎日通い慣れている通学路です。防風林としてアカシアの木が植わっていて、蜜のいい香りがして来ました。程なく、平坦な三菱金属道路に差し掛かります。ベンリィちゃんに乗せてもらい、いたずらさせてもらいながら、地域学習をしていました。
坂を上り詰め右折し、駐車しました。エンジンを止め、小休止です。