
■J.W. Everitt / Listen■
貝がらに耳を近づけると波の音が聞こえる... なんて話がありましたね。 もちろん綺麗な嘘に決まっていますが、そういうロマンチックな話を頭ごなしに否定してしまうのも大人げないかなと思ったりします。 このジャケットに映し出されている巻貝の写真と、大きく「LISTEN」と書かれたデザインを見ると、貝がらを手に取るとついつい耳に近づけてしまう衝動は世界共通なのだと思いました。
大胆にも「聴け」というタイトルのアルバムは、J.W.Everitt が 1975 年に発表したファースト・アルバム。 ギターのテクニシャンであり、SSW でもある彼はフォークからブルース、そしてジャズに至るまでの幅広い音楽を吸収し消化したミュージシャンで、Leo Kottke あたりと比較されることが多いようです。 彼の公式サイトによると Leo Kottke とは共演したこともありました。
アメリカでは倒産してしまった Tower Records の発祥地でもあるカリフォルニア州のサクラメントでレコーディングされたこのアルバムは、内陸性の空気感を伴ったシンプルで飾り気のない仕上がりです。 そもそも全 7 曲、時間にして 40 分という短さもさりげなさを演出しています。
アルバムは、最も素朴なギターサウンドの「Listen」から始まります。 ほぼ、インストだったように記憶してしまうほどボーカルの印象が薄い楽曲です。 あまり聴いたことがありませんが、Leo Kottke に近いサウンドです。 つづく「Doctor Luther」はやや印象が異なり、あす。 ここでは、J.W.Everitt のギターは控えめな存在になり、ブルース調のコード進行をバックにピアノやハーモニカがソロを奏でる展開へ。 その流れは「Lay The Body Down」にも引き継がれます。 ここではブルース色は消えますが、まったりした曲調はそのままという感じです。
B 面は少しポップになった印象の「Hiway Song」から始まりますが、3 分にも満たない短さであっけなく幕を閉じ、「I Need You Now」へと続きます。 5 分を超えるこの曲はアルバムのハイライトとも言える出来で控えめな演奏のなかをリリカルにピアノのソロが舞う中盤では、言葉にできない心象の移ろいを感じます。 この曲だけではありませんが、ピアノの Steve Peterson の好サポートはこのアルバムの最大の魅力となっています。 つづく「For Me」は J.W.Everitt のつま弾くギターの音色を堪能できるインストゥルメンタル。 ここでも Leo Kottke に近いものを感じます。 ラストの「People」はまたもピアノに導かれたバラード。 Steven Peterson のピアノはやや遠めにあるような奥行き感を感じさせ、その分ボーカルが近くに聴こえるように感じます。 音で演出した遠近感とでもいうのでしょうか、ここがこのアルバムの最大の魅力でもあり、癖になってしまうポイントでしょう。 寡作な彼はもう 1 枚しかアルバムを発表していないようですが、まだ現役で活躍しているようです。 それは素晴らしいことですね。
さて、次回はまた「LISTEN」というタイトルのアルバムを選ぶことにしました。 何が出てくるかはお楽しみに。
■J.W. Everitt / Listen■
Side 1
Listen
Doctor Luther
Lay The Body Down
Side 2
Hiway Song
I Need You Now
For Me
People
Produced and arranged by by J.W. Everitt
All selection writen by J.W. Everitt
Recorded and mixed : Heavenly Recording Studio, Sacramento, CA
J.W. Everitt : acoustic guitars and vocals
Jim Abegg : upright bass
Steve Peterson : piano
Mick Martin : harmonica
Thunderhead Records