■Ed Kilbourne / Wave To The Eagle■

  「翼ジャケット特集」の第 2 回は、クリスチャン系シンガーソングライターの Ed Kilbourne のアルバムです。 Ed Kilbourne に関しては、ブックマークさせていただいているサイト「S.O.N.G.S」にて、「Children Of My Mind(’77)」「Missionary(’74)」という 2 枚のアルバムが紹介されていますので、是非ともご参照ください。 この「Wave To The Eagle」はその 2 枚と同じ Airborn Records からのリリースですので、1970 年代中期の作品だと思われますが、レコードのどこを見ても年度表記がないために、正確なことはわかりません。 いずれにしても Ed Kilbourne の長いキャリアの中ではかなり初期のレコーディングであることは間違い無さそうです。

  このレコードのクレジットを見て、まず目を引くのが「You’ve Got A Friend」のカバーです。 James Taylor のカバーで全米を席巻したこの曲を、わざわざ選曲するのはそれなりの理由があったとは思いますが、メジャーすぎて違和感を覚えてしまいます。 実際のカバーは歌い出しに独自の歌詞とメロディーが挿入されているので、最初は違う曲かと耳を疑いました。 それはまさに、森進一の「おふくろさん」問題と同じ現象なのです。 作曲者表記も、Carole King ではなく Carol King とありがちな誤記をしているので、問題にならなかったのかと余計な心配をしてしまうほどです。

  アルバムのサウンドは、ほとんどがギターもしくはピアノの弾き語りに若干の味つけをした程度のシンプルなもの。 個人的にはミディアムやスロウな曲に良さを見出していますし、さらに言えば数少ないピアノ系の楽曲のほうが魅力的に響いています。 とくにアルバムで最も好きなタイトル・トラック「Wave To The Eagle」には、この曲だけを聴きたくなるような魔力を感じます。 あまり上手ではないピアノの弾き語りなのですが、音色も曇りのあるエコーを効かせており、それをバックに妙に弱々しく歌うボーカルがマッチして独特の味わいを見せる様は「素晴らしい」のひと言です。 つづく「Why Am I Afraid」も落ち着きのあるバラード。 ボーカルは柔和な表情を見せ、ギターの音色はあくまでも控えめに押さえているあたりの意図が奏功しています。 ちなみに、この 2 曲はアルバムのオープニングを飾っていますが、3 曲しかない Ed Kilbourne のオリジナルの 2 曲であることも注目です。
  この他では、「I Don’t Know How To Love Him」、「People」そして「Poem For My Little Lady」といったバラードが個人的にはお気に入りです。 
  アップなナンバーは比較的カントリーよりのサウンドで、John Hartford の「Stream Powered Aeroplane」や Tom Paxton の「Forest Lawn」といったカバーが主体となっています。 唯一の自作「Walden’s Pond」は、最も力強くポジティブな印象です。

  こうしてアルバムは緩急を絡ませながら、淡々としたテンポで進んでいくのですが、曲によって異なる表情を見せすぎているようにも思えます。 また、クリスチャン系のミュージシャンでありながらも、まだその色は濃く出ていないために、Jesus とか Lord という言葉が繰り返されることもありません。 ですから、このアルバムは SSW アルバムとしてカテゴライズすることにしました。 
  僕はこのアルバムのオープニング「Wave To The Eagle」を初めて聴いたときに過剰に期待してしまい、その反動で B 面の印象などは覚えてもいなかったのですが、こうして改めてアルバムを聴くと、やはり A 面にいい曲が偏っていることは否めませんでした。 Ed Kilbourne の他の作品は聴いたことがありませんが、このアルバムに対する個人的な評価があと一歩で惜しいだけに、他のアルバムにも早く出会いたいと思っています。



■Ed Kilbourne / Wave To The Eagle■

Side-1
Wave To The Eagle
Why Am I Afraid
Walden’s Pond
I Don’t Know How To Love Him
You’ve Got A Friend

Side-2
Stream Powered Aeroplane
People
Forest Lawn
Poem For My Little Lady
Rubber Ducky
Last Lonely Eagle

Produced by Ron Moore and Ed Kilbourne

Ed Kilbourne : vocals, guitar and piano
Ron Moore : guitar, side vocals and knees

Album Design , concept and sketch : Ed Kilbourne
Photography : Ron Moore

Airborn Records