
■Bliffert / You’ll Like Bliffert■
チープな手作り風ジャケットがなんとも情けない Bliffert のアルバム。 このイラストとも言えないような絵は、このグループのリーダー Fred Bliffert が 1961 年 9 月 24 日に書いたもの。 この 1961 年に Fred Bliffert が何歳だったのか非常に興味がありますが、調べてもよく分かりませんでした。
この Bliffert に関しては、ジャケットやレーベル面には制作年代や地域がわかる情報は一切ありません。 そこでネットで調べてみたところ、少しずつですが、このアルバムや Fred Bliffert に関する情報が分かってきました。
Fred Bliffert は、Freddy and the Fleeloaders という名義で 1960 年代から活動していたローカルバンドのようで、地元はミルウォーキー州でした。 1974 年には Los Angeles Songwriters Showcase (LASS) でパフォーマンスした記録も残っています。
アルバムは冒頭の「Kansas City」を除いて、すべて Fred Bliffert の作曲です。 「Kansas City」は、著名なソングライター・チームのリーバー&ストローラーの曲。 The Beatles がカバーしていることで有名な曲です。 つづく「C.Y.O.」 このバンドの本質をよく表す軽快なロックンロール。 「God Bless The Innocents」はひっそりしたハーモニーがメインのインタリュード的な作品。 あまりにさりげないので最も印象に残らない楽曲です。 その地味さはつづく「Lullaby」にも通じます。 この曲は、アルバム随一のバラードですが、あまりに短いので拍子抜けしてしまいました。 どんどん陰気になってきたアルバムは次の曲で一転。 「Come On Down To Bud And Stella’s Hawaiian Pizza Parlor」は、陽気なパーティー・チューン。 友達全員集合という感じのハーモニーを聴いていると自然に体が動いてくるような、そんなハッピーソングです。
B 面に入るとアルバムの個々の楽曲のクオリティが一気に高まると同時に、バラエティあふれる展開を迎えます。 「Makin’ Music With My Friends」は、Fred Bliffert ではなくグループの女性がリードボーカルをとる楽曲。 楽しそうに友達と集まっている裏ジャケットの雰囲気をそのまま音楽にしたというサウンドです。 「It Looks Like It’s All Over」は、珍しく構成のしっかりしたミディアム・ナンバー。 失恋の歌なのでしょうか、後半にかけて盛り上がりを見せる名曲です。 つづく「If I Had Wings」もパーカッシブなアップ・ナンバー。 途中でクロスフェードしてフォーキーな展開を見せるなど、アイディア豊かなナンバー。
「When I Was Loved」は、一転してしっとりした弾き語り。 ソフトロックとフォークロックが交錯するサウンドで、この曲もかなりお薦めです。 ラストの「Love Is All Around Us」はいきなり雰囲気がメロウになり、サウンドは Gamble & Huff が手がけたかのようなソウルとなります。 この展開は意外なのですが、曲の出来が最高なので違和感はすぐに吹っ飛んでしまいます。
こんなチープなジャケットに、このような内容の濃いサウンドが封じ込められているから、レコードは聴いてみないとわからないものです。 このアルバムは 1970 年前後の作品だと思いますが、自主制作盤にしては珍しいポップさと親しみやすさを持っていて、かなり良質な作品と言えます。
さて、Fred Bliffert が残したレコードはこれだけなのでしょうか。 そう思って探してみたところ、近年の自主制作 CD と思われる作品のジャケットを発見しました。 その写真を見て、やはりそうだったかと思ったのが、彼の風貌です。 この写真をみて、裏ジャケットの最前列の真ん中に座っているメガネ男が、Fred Bliffert だということが判明したのです。 予想通りでしたけど。

■Bliffert / You’ll Like Bliffert■
Side-1
Kansas City
C.Y.O.
God Bless The Innocents
Lullaby
Come On Down To Bud And Stella’s Hawaiian Pizza Parlor
Side-2
Makin’ Music With My Friends
It Looks Like It’s All Over
If I Had Wings
When I Was Loved
Love Is All Around Us
All Songs Written by Fred Bliffert
Except ‘Kansas City’ by Leiber & Stroller
O Records No.1