
■Billy Charne / Billy Charne■
紅葉の小道をギター片手に歩く Billy Charne のソロ・アルバム。 1972 年にBuddah Records 傘下の Sussex Records からリリースされたものです。 ジャケットの風景は、紅葉というよりは落葉寸前という状態で、葉の少なくなった森の小道には日差しが豊かに降り注いでいます。 街路樹の葉が落ちて、道が明るく感じたりする季節が近づいてきました。
さて、今日の主人公 Billy Charne は本名 William Chernoff といいます。 本人の両親もしくは祖父母が欧州系の移民だったのかもしれません。 Billy Charne はこのデビューアルバムの前に 4 枚のシングルをリリースしており、なかでもセカンド・シングル「Susie’s Better Half」は、カナダでトップ 5 に入るヒットを記録しています。 残念ながらこのアルバムには「Susie’s Better Half」をはじめ、初期のシングル曲が収録されていませんが、おそらくレーベルが違うなどの契約的な問題があったのではないでしょうか。
アルバムは郷愁あふれるスロウの「I’m Going To Heaven」 で幕開け。 つづく「You Must Not Do That Anymore」は 『♪あんなマネしちゃだめだよ♪』というサビが繰り返す曲。 いったい『あんなマネ』って何だったのでしょう。 「To-Ma-Ray Tom-O-Ray」は 4 枚目のシングルとなった曲。 「止まれ止まれ」という邦題を勝手に命名したポルカっぽいナンバー。 つづく「Louisiana Woman」は、旅情感のあるしみじみしたナンバー。 スワンプテイストもあったりして個人的なお気に入り曲の一つです。 A 面は無骨な手触りのワルツ「The Dog Song」でハーフタイム。
B 面は A 面以上に濃い内容です。 Jerry Cole のボトルネックが印象的な「Fresno Rodeo」で始まりますが、この曲もノスタルジックな味わい。 後半にかけての展開もカッコよく、このアルバムのハイライトと言えるでしょう。 つづく「Ida Red」は、キャッチーでシンプルな楽曲。 「Like A Human Drum」や「Sparrow」など Billy Charne の持ち味である渋みと演奏陣がしっくりまとまった曲が並びます。 そしてラストの「The Poet Lives On In A Song」もクオリティの高い仕上がり。 コード進行が同じということで、間奏部分で賛美歌『諸人こぞりて(Joy To The World)』のメロディーが聴こえてきます。 このアルバムの季節感をうまく表したエンディングとなっており、アルバムの印象をより強めていると思います。
そんな Billy Charne ですが、現在も Billy Chernoff として活動しています。 公式サイトによると、2004 年の「Magical Mystery Man」に続いて、最新アルバム「A Better Way」を今月にリリースしたばかりのようでした。
昨日の東京は「木枯らし一号」だったようです。 そろそろコートを出さなくてはいけませんね。 それにしても日が暮れるのがあまりにも早くて切なくなってしまう今日この頃です。

■Billy Charne / Billy Charne■
Side-1
I’m Going To Heaven
You Must Not Do That Anymore
To-Ma-Ray Tom-O-Ray
Louisiana Woman
The Dog Song
Side-2
Fresno Rodeo
Ida Red
Like A Human Drum
Sparrow
The Poet Lives On In A Song
Producer : Sam Goldstein and Carl Walden
Billy Charne : acoustic guitar
Carl Walden : acoustic guitar , electric guitar , steel guitar , dobro , harmonica
Jerry Cole : bass , bottleneck guitar , acoustic guitar , electric guitar
Paul Suter : bass
Sam Goldstein : drums and percussion
String , brass and vocal arrangement by Paul Suter
Sussex Records SXBS 7022