■Gnawbone / Gnawbone■

 「グナボーン」と読むのでしょうか、それとも「ノウボーン」?
いすれにしてもこの言葉の意味がわかりません。 ネットで調べたところ、インディアナ州のローカル・コミュニティーの名称のようにも思えたのですが、詳しいことはわかりませんでした。 何かしらの宗教や思想などに関連しているようにも思えますが、それ以上の探索はしていません。

 いずれにしても、今日取り上げた「Gnawbone」はインディアナ州のローカルタウンで結成されたフォーク・グループです。 唯一と思われるこのアルバムがリリースされたのは 1980 年。 サウンドはダルシマーとアコースティックギターを中心とした素朴なもので、紅一点 Mara Kubat のボーカルが入る曲は英国的なトラッド感が増してきます。 アルバムを通して伝わってくるのは音楽と真摯に向き合う青年たちの姿勢です。 それゆえに、サウンドの温もりの背後には、ピンと張り詰めたような緊張感が見え隠れしてきます。

 アルバムに収録されている約半数の曲が Mara Kubat のリード・ボーカル。 ここでは彼女の表情豊な世界が堪能できます。 そのうち、「Pretty Polly / Bedlam Boys」、「Come Give Me Your Hand」と「Fare Thee Well」がトラディショナル。 これらのなかでお勧めは「Come Give Me Your Hand」で、この曲は Fred Meyer と サポートメンバーとしてクレジットされている Doug Berch のツイン・ダルシマーを従えたミディアム。 Mara Kubat のボーカルが他の曲以上に映えているように思います。 トラッド以外ではグループ名でもある「Gnawbone」、「Female Drummer」、「Fare Thee Well」などがメンバーの作曲によるものです。 グループ名と同じ「Grawbone」はメンバー 3 人による合作。 澄み切ったボーカルはイギリスの June Tabor を連想させます。

 Mara Kubat 以外のボーカル・ナンバーは 1 曲あり、それは「If Louise Still Sang Her Sunday Song」です。  この曲はゲスト扱いながらメンバー写真にも写りこんでいる Doug Berch の作曲・ボーカルの曲。 ダルシマーの弾き語りですが、曲のタイトルがお気に入りです。 このような曲がありながらも彼を正式なメンバーとしてクレジットしていない理由は謎ですね。

 他の曲はすべてインストの小曲で、ボーカル曲に挟み込むように編成されています。 なかでもギタリストの Jon Vetrees が作曲した「Rutherford College」と「Damon」は彼の美しいギターソロとなっています。  他にもインスト曲には充実した楽曲が多いのですが、その一つがトラディショナルの「Lark In The Morning」です。 これは Doug Berch のダルシマーをメインとした楽曲。 彼の空を舞うようなリコーダーとのアンサンブルが最大の聴きどころで、アルバムの最良のシーンとなっていると思います。 この曲と比肩するのが、Fred Meyers による「For Sheila」。 こちらも、ダルシマーとギターをバックに、木々の間を自由に飛び交う小鳥のようなイメージのリコーダーが舞う佳作に仕上がっています。 

 このようにアルバムはメンバーの個性が自作の楽曲で発揮されながらも、グループとしてのバランスが絶妙に保持されているように思います。 それは個々のメンバーの人生経験や人格にも依存しているものかもしれません。 いずれにしても、1980 年に世俗の音楽とはかけ離れた純粋な音楽が作られていたことに驚きを感じざるを得ないのです。

 余談ですが、 アルバムのプロデュースを行い、バンドのリーダーと思われる Fred Meyer は、同じ Midwest Coast Records から「Rockin’ Chair」というソロアルバムをリリースしています。




■Gnawbone / Gnawbone■

Side-1
Pretty Polly / Bedlam Boys
Pine Mountain Jig
Silkie
Rutherford College
If Louise Still Sang Her Sunday Song
Gnawbone

Side-2
Freeman Shuffle
Lark In The Morning
Female Drummer
Come Give Me Your Hand
Damon
For Sheila
Fare Thee Well

Produced by Fred Meyer
Recorded at Homegrown Studios , Bloomington , Indiana

Gnawbone is
Mara Kubat : vocals
Jon Vertrees : guitars
Fred Meyer : dulcimer , slide dulcimer , bones

Also:
Doug Berch : dulcimer , banjo , pennywhistle , recorder , vocals
Dave Welch : snare drum
Kris Meyer : jaw harp

Midwest Coast Records MC-001