養老保険とは貯蓄型の生命保険です。
掛け捨ての生命保険と同じで被保険者が死亡した際、死亡保険金が支払われます。
掛け捨てはその名の通り、払い込んだ保険料が戻ってくることはありません。
払込期間が終身であっても、定期であってもです(あくまで月払いです)。
養老保険は貯蓄型の生命保険です。
払込期間・保障期間は定期のみで、例えば30年などです。終身はありません。
保険金額を例えば500万円としたとき、12か月×30年払い込むわけですが(月払いの場合)、総払込額は通常、500万円未満になり、例えば480万円になります。
満期まで無事に過ごすことができれば、満期金として500万円受け取れます。
480万円払い込んで500万円受け取れるのです。
払込期間中に死亡した場合は、500万円が受取人に支払われます。
メリットしかないように思われますが、掛け捨てと比較して払込額が大きくなります。
途中で払込が苦しくなり解約となつた場合、返戻金はそれまで払い込んだ総額をほぼ確実に下回ります。
加入にあたっては将来への計画が必要になります。
養老保険の成り立ち
人類が開発した最初の保険は「損害保険」
近年販売されている保険商品を見ていると、保険本来のあり方としては随分かけ離れた商品や国民全般の考え方が一般的となっています。保険というものは、本来海上保険に始まり、運航途中で災害にあったり、海賊に襲われたりした場合など損害を被った際に備えて、あらかじめ準備をしておくというものでした。
そしてその損害額が莫大なものであった場合に一人ではカバーしきれないため、皆であらかじめ金を拠出し合い、不測の事態に備えようというものだったのです。
つまり保険はそもそも損害を補填する、「損害保険」からスタートしたのです。素人志向
それが生命保険という形に応用され、現在に至っています。
つまり万一、自分が死んだ場合、残された家族は自分の葬儀代や相続税なども支払わなければならない。
さらにはその後の生活費も必要という状況で必要な額をあらかじめ皆で拠出し合って備えようというのが生命保険でした。
そういう意味であることから、保険の始まりは「掛け捨て」だったのです。
保障から貯蓄へ
しかし、今日では、この「損害を補填する」という本来の考え方からかけ離れて、プラスアルファの利益を得る手段として保険が利用されています。例えば満期になれば自分が支払った保険料にプラスした額が戻ってくるという商品が出始めると、皆掛け捨ての商品よりもそうした満期保険金がもらえる商品に人気が集中し始めました。
その最たる例が、「養老保険」と呼ばれるものです。
バブルの時代に販売されたこの商品は、年利5%ほどで運用され、満期になれば保険契約者は莫大な利益を得ることができたわけです。
こうなると保険は本来の目的や意味から脱して、貯蓄の手段、もっと言えば財テクの手段として利用されるようになったのです。
そして現在では、外貨建て個人年金保険という商品も数多く販売され、完全にもうけを目的とした商品となってしまっています。
満期になっても、年金の形式で受け取らず、一時金として全額を受け取り、それをそのまま他の金融商品購入へとつぎ込むのです。
年金として購入しておきながら年金としては受け取らないというのが当たり前として考えられている時代なのです。
時代の流れによって保険に対する人々の考え方も変遷していきます。
今後も、現在では想像できない保険が開発・販売されるかもしれません。