「#1# 」
「#2# 」からの続き。
まだ会った事もないケイの言葉に押されて付き合う事になった。
でも相変わらず電話は彼女のいない隙を狙ってやし、
土日は身動きが全く取れんし、メールも見られるかもしれんから
しづらくなってしまった。
そんな日がしばらく続いて。
ケイが「もう我慢できない。会いたい。」と言った。
その翌日には「新幹線のチケットを買ったよ。」と…
その頃の私は土日休みじゃなくて、平日と日曜で休んでたから、
ケイが仕事に行くフリをして平日に来てくれることになった。
彼女にバレたらややこしいから、ケイの平日と変わりないように
帰宅時間をいつも通りにする必要もあった。
新大阪はあんまりよくわからんから京都で待ち合わせた。
日韓ワールドカップの試合が大阪で開催された日やった。
新幹線のホームでケイを待つ。
降りてきたケイは、私を見つけてこっちに走ってくる。
思わずびびって逃げてしまった。
(そしてあとでものすごい怒られた)
やっと会えた。
でも時間がない。
ケイが仕事を終えて普通に帰宅するフリをするには、
京都には3時間滞在できるかどうか。
その時の私にヨコシマな考えがなかったと言えば嘘になる。
でも3時間でどうするん?という気持ちもあったし、
ケイの顔をずっと眺めてたいとも思ったし。
ランチがてら適当な店に入って
ずーーーっと顔を見てたら「何で喋らないの?」と。
「ん~、いつ会えるかわからんし、ずっと忘れたくないから
ケイの顔をメモリー中なんよ。カチャカチャ…」
「あるもちゃんってさ、目がいいよね~。
その目でジっと見られたらもうだめだ。」
その時の私はえらいスケベな目をしてたんやろう。
ランチを終えたら、もう時間が2時間も残ってなくて、
どうしても二人になりたくてカラオケに行った。
歌わずにテーブルを挟んで座ってずっとケイを見たり、
持っていったデジカメで一緒に写真を撮ったりした。
時間がないのは二人とも痛いほどわかってた。
ケイは私より背が高かったから、私を引き寄せるようにして
自分と正面になるように子供みたいに膝に座らせた。
ケイの長い腕を背中に回されて、そこで初めて抱き合った。
そのあと唇を合わせた。
時間はあっという間に過ぎて、私とケイはまた新幹線の
ホームに立ってた。
帰宅時間に間に合うかギリギリの新幹線が入ってきた。
乗り込む時にケイは私を抱き寄せて人目も気にせずキスをした。
ちょっと、うーん、かなり恥ずかしかった。
そして新幹線は行ってしまった。
数日後。
一度会ってしまうと、もう気持ちを抑えられなくなる。
早く帰れた夕方にケイと電話してる時に言ってしまった。
「ケイの傍には彼女がおって、好きじゃないと言ったって
相手が要求してくれば身体は重ねて。
結局、私って時間の空いてる時に電話かメールだけで。
会ったって、あんなに隠れてコソコソせんとあかんなんて。
ケイの都合に合わせるばっかりや。」
言ってしまったあと、ハッとしたけどもう遅かった。
「わかった。じゃあ別れよう。
あるもちゃんは私の気持ちを信じてないし、今すぐに
どうこう出来る状態じゃないのは本当の事だし。
今までどおり友達にしよう。そっちの方が楽でしょう。」
後悔したけど、どうしようもなかった。
何を言ってもケイの意思は変わらない。
そういう人やったから好きになったのもわかってた。
「わかった。じゃあ今までどおりで。」
私の寂しさから出た言葉で、私たちの恋人という関係は
あっさりと壊れてしまった。
友達という関係を築いていく努力をしていく事になった。