今回の記事は自分の所のエントリーのリブログのそのまたリブログという、入れ子構造になってしまっている。

5/13補足 タイトルのイブは「イブの時間」からである。説明を忘れていた事をお詫びする。

 

・第二の身体を欲する時

一黙殿がリブログしてくださったエントリーへのコメントで以下のような事を書いた。

 

>もう一つは「ロボット置けば自分の面倒を自分で見られる」状態を高齢者達が強烈に欲するであろうって事。

>介護はされる側にも結構ストレスがたまるようなんですよ。

 

これは意外に思うかもしれないが、自分がそうなった場合を考えてみるとわかりやすい。あなたが何らかの事故で身体をまともに動かせなくなったとしよう。誰かが介助してくれない限りトイレにすら行けなくなったら…。寝たきりになったりすると場合によっては寝返りすらできない。

 結果として寝返りが出来ない背中が化膿してくる。そういう状態だ。介護する人の手を借りないと何も出来ない。そんな状態でも医学はなかなか死なせてくれないのだ。寝たきりで苦しんでいる状態で胃瘻という措置をされると、簡単には死ねなくなる。まず、胃瘻を行ったら通常の食事ができる状態までまず戻れない。胃につながる管をつけてそこから栄養を流し込む。徐々に嚥下する力も衰えるからうっかり水も飲めなくなる。脳神経の損傷で味がわからなくなったりしたら更に酷くなる。それでも死なない。それでも医師達は「生かす為の最善を尽くす」のだ。彼らの職業的倫理観が「生かす為の最善を尽くす」事を例え患者が望まなくても行うが故に。だから、万が一の時には延命措置として何を拒むかとかを事前に話し合い、文書などにして残しておく必要が出てくる。

 安楽死は未だ認められていない。延命措置を本人が拒んでも、家族が見ていられないという理由から医師に望んでしまう事もある。

 話を戻そう。自分で当たり前に出来ていた事が出来なくなる事はすさまじいストレスをそうなった当人に与える。介護もガンも周囲の家族は「第二の患者」となり、経済的にも精神的にも追い詰められるのだ。ガン患者だけではない。介護もまた家族が第二の患者となり、あるいは介護離職などで経済的に破綻して追い詰められ、介護殺人、心中へと至るケースが増えていく。

 そんな状態に家族がいるなら、患者本人が罪悪感を抱かない訳がない。それもまたストレスとなる。だから、自分の面倒を見る事を可能にする「自動化」は絶対に必要になる。介護を家庭任せにする政策はこれから独居老人が大量発生する状況では確実に破綻し、財政規律も何も無くなる。その前に方針を転換し、対応を進めないとならない。介護職は低賃金な上に過酷すぎて外国人すらも嫌がる状態だ。

 

・アヴァターへの道

 人型ロボット制御については二つの流れがある。一つはロボット自体が自律制御できるようにする流れ。もう一つは人間が遠隔操作する流れだ。映画「アヴァター」や佳作である「サロゲート」の流れである。

 遠隔操作の利点は

 ・自律制御に比べてハードルが低い。

 ・既存の機材への変更が最小限で済む。

この二つである。例えば建築重機に人型の遠隔制御ユニットを乗せるというのもある。自分の肩も揉める位の上半身のみシンクロさせるのもあるし、豊田が開発した「T-HR3」等は全身をシンクロさせる事が出来る。徐々に実用化に近づいていると言えるだろう。ロボットを導入する事を考慮すると、人型というのは「既存の施設を流用できる度合いが高い」故にロボットをインフラに取り込むハードルが低いのだ。

 そして、現在の日本では大規模にこのタイプの人型ロボットを大規模に実験、運用する必要がある地域がある。

 福島である。

 

・作業機械としての人型ロボット

 福島第一原発とその周辺地域は、未だに放射線量の問題から人間が長時間滞在する事すら困難な状態だ。しかも防護服を着込んで行わないといけないし、作業できる総時間の上限もある。ロボット開発もなかなか進まない。

 そして、帰宅困難地域でも同じ問題がある。被爆を抑える為に時間制限がある。これらの問題から作業は遅々として進まない。これらの問題を解決するのは「被曝線量を気にせずに作業できる事」であり「老人でも重量物などを容易に扱えて、なおかつ腰痛などにならないで済ませられる事」である。

 自律制御型はまだ先の話である。そして、現行の人型ロボットは人の代わりに作業するには非力なモノが殆どである。必要なのは「人型の土木建築作業を行える機械」である。そこにまだ至っていない。

 そこで私、Almanosは発想を変えてみてはどうかと考える。

 福島を「特殊開発特区」としてこれらの問題に対する技術運用の制限を取り払う。

  ロボット特区として「全ての開発における法律と倫理の制限を取り払うのである。

 そして、以下の観点からロボットを作る。

 ・双腕型の土木作業機械として必要な諸元を割り出す

 ・諸元に基づいた重量を扱える「人型の小型重機」を作成する

 作製される機械は極端な話、油圧、水圧等で重量物を扱い、人間が遠隔地から全ての動作を制御する形にする。動力は電気を有線でも良いし。ガソリンエンジンでも良い。人がいない地域で動く重機なのである。無線送電も実験されているから実運用実験を行うというのでも良い。何しろ人はいない。感覚機器としてマジックハンドの圧力センサーでモノを握る間隔を調整し、カメラとマイクがあれば良い。そして、制御はほぼ人間が自分で着ぐるみみたいな制御装置で行う。人型機の制御に最適なのは「人間」である。バランス制御とかも全て人が行う。これに制御動作をモニタリングし、データを蓄積していくシステムを連結する。

 こういった機械を制御する免許等の制限も特区である事を理由に無しとする。最初は戸惑うが、人はすぐになれて道具を使いこなしていくだろう。そして、そのデータを蓄積していき、それを元にサーバー側から人抜きで動作させる実験を同時に進めていく。実際の環境で動かして、うまくいかない所は人間の教師が実際に遠隔制御で動かしてデータを修正していけば良い。

 そして、無人で制御する作業が徐々に増えていけば、昼夜問わず人型作業機械が仕事を行えるようになるだろう。帰宅困難地域での元居住者の整理作業もカメラで現状を見てから作業を指示すれば良いようになる。

 福島で実際に農作業を行って動作を覚えさせる事も出来るだろう。福島で起きた事は悲劇であるが実際に人間が生活していた環境をまるごと試験で使える。その意味では福島をロボット開発と運用の特区として、復興作業で開発と運用を行う事は状況を改善する手となると考える。

 

・家庭内での作業ロボットへ

 この流れを家庭内での作業の為にも持って行かなければならない。この場合は以下の制限がつくだろう。

 ・動作時に人を巻き込まない

 ・足は二足歩行で無くても良い(車輪でも良い)

 ・人間並みの自由度がある腕で無くても良い

 ・人が動作を遠隔制御で教えてから、これを学習していく

 

介護用となると被介護者を抱き上げたりする必要もあるが、先に掃除洗濯、あるいは簡単な料理などが出来、宅配の受け取りが出来るものを目標とする。まあ、これでも大概なと言われる目標だが。先に挙げた作業機械の成果を取り込んで「自分を介護できるロボット」へとグレードアップしていけば良い。

 恐らく、センサーと駆動部分とデータ通信を行うシステムと、これを動かすワークステーション並みのシステムを無線LANとかでつないで動かす事になるだろう。

 チャレンジャーなユーザーに、20万くらいで購入できるモノにしておく必要がある。恐らく、製造価格からいくとトントンになれば良し、まあ、赤字は避けられないだろう。が、このタイプの製品は蓄積されるデータから自動動作が出来る部分を作り、増やしていく為の「ユーザーとメーカーが共同開発するロボット」というコンセプトになるだろう。AmazonのFireタブレットなどのように、ハードでは無くロボットを動かすサービスを顧客とともに開発していく為の開発コストと割り切らないと失敗するだろう。

 此処で重要なのは「ともに開発したユーザーには次のバージョンへの無償アップグレードが基本、有償にするにしても上限5万程度でできるようにする」事だ。これはアップルと同じで「技術を捨ててもユーザーを捨てない」事がロボット開発では絶対に必要になるからだ。日本メーカーが技術はともかく、製品で負け続けたのはこの姿勢がないからである。

 開発に協力してもらいながら、冷たい扱いをするならその会社のロボット事業は大損で終わる事を避けられない。ユーザーにステップアップしたロボットを一緒に育ててもらっていく為の開発投資であると割り切って行わないと、事業から大損で撤退する以外に無くなるだろう。

 何よりも、鉄腕アトムを生んだ日本が「せこいソロバン弾いたせいでロボットで負ける」のは国辱もので、そんな事やらかした企業のトップは万死に値するであろう。

 いずれは「脳波マウス」の発展系として脳波で動かせるものを造らないといけないだろう。これは遠隔操作時に脳波を取るとか、後頭部に量子計測とか出来る装置を組み込んで「量子的な変化からさせたい動作を読み取れる」様にしないとならないが。

 現状のリモコントイロボットでもこの手の研究は出来ると思う。そこで、トイロボットメーカーはそういうキットを作ってみてはと思う。寝たきりの老人が自分の代わりに動くトイロボットで精神的な状態が改善されるかもしれない。

 等と考えてみている。こういう仕事に関われたら大変だが楽しいかもしれない。一介のIT土方であるAlmanosには夢なのであろうが。アイディア出しても「あ、もらい! 」でこっちには何もないのがデフォルトなのであろうなぁ。

 ま、面白い時代になるならそれでいいかと、自分を慰めて終わる事にしよう。