7月10日に一般の方から相談があった雑種犬。
4年という年月、会社の敷地内に置かれて、劣悪な環境の中、生きてきました。
痩せて骨が浮き出て、十分な食事も水もない。
腹部に乳腺腫瘍らしき腫瘤もあります。
連日の猛暑、水入れはタイヤの中の苔が生えた容器。
いつもカラか、汚水が入っているような状況でした。
もう1頭、同じ環境で飼われていた犬は、とうに亡くなってしまったそうです。
この犬たちの前も、同じ環境で飼われていた犬がいたそうですが、その犬は、数年前に熱中症で瀕死のところを相談者が飼い主にかけあって引き取ったとのことでした。
この子もいつ死の運命をたどるのかわかりませんでした。
相談者が最寄の保健所に相談してくださって、指導が入りました。
その間にも、まだ放棄とはならず、ありははさん＆ゆもわんさんが、お水と餌をあげに通ってくださいました。
とても人馴れしていて、とても番犬にもならない、か弱い犬です。
飼い主も誰かに頼まれて仕方なく飼っていたそうですが、それでも飼う限りは、責任があります。
痩せたからだ、汚れた艶の無い被毛。
灼熱の夏も、寒い凍るような冬も、叩きつけるような雨が降っても、ここから身動きできなかった。
生きていることも辛い過酷な環境。
4年間もの長い時間、人間でいえば16年。
犬猫は置かれる環境と関わる人間によって、こうも人生が左右されてしまうのかと悲しくなります。
お水とご飯をあげに通ってくださって、犬の表情も少しずつ和らぎました。
ほんの少し、顔色が良くなったような気がします。
保健所の指導で、犬の登録や狂犬病予防ワクチンなど必要なことを飼い主に説明していただきましたが、飼い主は外国人。
日本の法律もよくわかりません。
せめて美味しいご飯と新鮮なキレイな水を・・・
新しい水の器を置いて、彼女の命が消えないようにと祈りました。
たったこれだけのことでも、誰かに気にして声をかけてもらえるだけでも、生きる気力がわくのです。
あ、また来てくれたのね。
そう笑っているように見えます。
もう少しの辛抱、頑張ろうね。
少し伸び～っとして、なんだか気持ちよさそう。
やっと保健所の指導と飼い主との話し合いが終わり、結局、犬を放棄するということになり、保健所に持ち込みされました。
保健所に持ち込みされて良かった。
これで灼熱地獄も、喉の渇きもありません。
そして、ぜひ彼女を迎えたいと、里親の申し出があるのです。
おそらくフィラリア陽性で、健康状態も良くないかもしれません。
でも、温かい家庭が彼女を待っています。
放棄した飼い主には、もう二度と、このような環境下で、かつ無登録で犬を飼わないようにと、保健所から話をしていただいています。
決して同じ不幸を繰り返させてはいけない。
あちこちで炎天下の中、放置されている犬の話が聞こえてきます。
でも、飼い主がいる以上、私たちでは手出しできないことが多いのです。
保健所や愛護センターから指導をしてもらうとともに、ちょっとしたサポート、たとえば日除けのサンシェード1枚を張るとか（1000円くらいで売っています）、通って水を置かせてもらうとか、なんとか歩み寄って手助けしていくしか、命を繋ぐ方法がない場合もあります。
保健所やセンターは、ありきたりの指導で、さして力になってくれないかもしれません。
動物愛護法違反に抵触するからといって、警察が動いてくれる期待も薄い。
犬猫の飼い方や価値観は人によって違います。
知識なく、これが良くない飼い方だと思っていない人もいる。
命あるものですから、自分のことに置き換えて考えて欲しい。
難しい問題です。
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