ご報告が遅くなりました。
5月11日(土)、静岡県・小山町多頭飼育現場から犬2頭の引取がありました。
遠く東京まで搬送してくださったGO保護犬GO様、途中引き継ぎをしてくださったO様、ありがとうございました。
葛飾区内の協力病院にて待ち合わせをして、犬2頭、受け取りました。

MIX♂グッチ、MIX♀千
連休明けに小山町多頭飼育現場から、いったん保健所へ。
そこで、初めてつける首輪とワイヤーリード。
もう緊張と不安と恐怖でいっぱいだったと思います。

4年以上もの間、狭いステンレスゲージの中だけの生活。
一歩も外に出ることはなく、散歩にも行けず、全ての自由を奪われて、ただただ、ゲージの中で与えられた食事と水で生きながらえてきた子たち。
その子たちが、いきなりゲージの外の世界に4年ぶりに出てきて、怖い以外のことはなかったかも知れません。


動物病院に到着した2つのバリケン。
多頭飼育現場の犬 

病院には事情を説明していましたが、安全に管理するために、病院でのゲージに移す前に、ハーネスをつけて扱えるようにする必要がありました。


まずは、MIX♀千から出します。
バリケンの奥に固まって出てこないので、ワイヤーリードを引っ張って出す。
千は恐怖で逃げようとして暴れます。

MIX♀千 

MIX♀千 

MIX♀千 

処置室で、エリザベスカラーをつけて、ハーネスをつけて・・・
そうこうしている間に、オシッコ、ウンチを撒き散らしてしまって・・・
本当に怖い思いをさせてしまいました。


次は、MIX♂グッチ
現場では愛嬌のあった笑顔も、今日はこわばっています。
MIX♂グッチ 

グッチにハーネスをつける作業が大変でした。
まずエリザベスカラーをつけないと、恐怖でお口が出てしまう可能性があるので、二人がかりで取りつけます。
暴れて自分の舌を噛んでしまいました。
グッチ、ごめんね。

MIX♂グッチ 

どうにか2頭にハーネスをつけて、ガチガチだった首輪を少しだけ緩めて、グッチの首輪は、少しだけゆとりのあるサイズに取り替えました。

諸検査の結果は、良い結果とは言えません。
2頭とも肝臓の数値が高いこと、グッチはフィラリア陽性であること、
そして、千には、発情抑制のチップ(黄体ホルモンインプラント製剤)が埋め込まれているため(行政が4年前に実施)、避妊手術ともに、チップを取り除く処置をしないといけません。
発情抑制のチップには、様々な副作用が懸念され、なぜチップを入れたのかどうにも理解できません。

インプラントの長期使用の副作用

・妊娠期間中の投薬による催奇形性
・糖尿病
・肝障害
・子宮内膜の病理学変化の誘発
・子宮蓄膿症
・副腎皮質抑制
・乳腺肥大
・乳腺腫瘍
・沁乳
・多渇
・沈鬱


小山町多頭飼育現場の♀犬たちは、全頭、発情抑制のチップを埋め込まれているため、かつてGO保護犬GO様が引き取った子たちの中にも、重篤な副作用の症状が出ている子たちもたくさんいました。

このような現場の子たちに、何か医療措置をするのであれば、まずは、安全な実績のある不妊手術、比較的、簡単な♂の去勢手術から実施するほうが、まだ良かったのではないでしょうか。
フィラリア陽性の子たちが大半ですから、麻酔のリスクがありますが、4年前なら、重度にはいたっていない子が多かったと思います。

しかし現実問題、小山町多頭飼育現場の子たちを受け入れてみて、最初の医療措置が出来るようにと、GO保護犬GO様はじめ、現場のボランティアスタッフさんが苦労されている「馴らし」が、時間も労力もいる大変なことだということが、よくわかりました。

最初にGO様とお話した時に、「なぜ行政は、先に全頭の避妊去勢を行わないんでしょうね」と軽くお話をしてしまいましたが・・・
首輪もリードも係留も保定も出来ない子たちを、安全に手術までもっていくことが厳しいことだと思いました。
でも、副作用のある発情抑制のチップが最善策だったのか?

もう今更の話かも知れませんが、あらゆる是非の可能性を探っても、50頭のステンレスゲージへの閉じ込め飼育、♀には全頭、発情抑制のチップ埋め込み、犬たちのことを思うと可哀想でなりません。

グッチと千には、少し窮屈な思いをさせてしまいますが、病院に預けて少し慣れたころに、不妊手術をしていただく予定です。
千のチップも取り出すようにお願いしています。
手術の予定は6月上旬。
その後、ティアハイムに滞在します。

ティアハイムに受入の環境を整えて、それからゆっくりと向き合い、いつか幸せなご縁をつかめるように頑張りますね。


グッチと千の様子は、時々、病院に確認しています。
グッチは手からオヤツを食べるようになったそうですが、千はまだ、ゲージの奥に引っ込んでいるそうです。
千は多頭飼育現場でも、ゲージの入り口から少しでも離れたゲージの奥にじっと固まっていました。
時間はかかるかも知れません。
でも、あの現場から出られたことが大事な一歩。
そう信じています。

先日のGO様のお話では、現場に残り16頭となったそうです。
残されている子たちが、猛暑を迎える前に、1頭でも早く出られますように。

静岡県・小山町多頭飼育現場の情報はこちらで
GO!保護犬GO