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人手不足

中国社会科学院が興味深いレポートを出しました。

政府系シンクタンクの一つですが、中国の出稼ぎ労働者数が頭打ちになりそうだとの報告です。これは単純には、働ける人で農村に残っている人の割合があまりにも減り、みんな都市に行ってしまったので、これ以上出稼ぎに出る人が居ない農村が全体の約75%にも上るのだとか。同レポートで出稼ぎ労働者の平均賃金は、2003年に月781元だったのが2006年には月953元にまで上昇し、今後もこの上昇は続くとしている。

当然といえば当然でしす。資源も人も無限なはずは無い。異常な膨張の後には、行き詰まりと一時的な収縮があるものです。

労働力不足による賃金上昇は結構ですが、物不足による物価上昇が起こることが心配です。今までの中国国内の不安要因は雇用で、それがゆえに8%と言われる潜在成長率を超える成長を政策的に指導してきた。仕事が無いことが貧しさの現況で、それが故に仕事があれば農民の不満も高まらなかったからです。それに加えて10%を超える高成長を続けていれば問題は隠される。

しかしここに来てステージが変わったことが伺える。つまり、高い成長ゆえに労働力不足が起き、企業も中国での経済活動を変えざるを得ない、という点である。何故なら中国に進出した多くの企業は、中にはその市場の潜在的な大きさゆえに進出しているが、そのような企業であっても低い労働賃金に頼っていない企業はほとんど無いといってよいからだ。制度変更によって労務費を本来の値に是正した瞬間赤字になる企業の記事が数週間前の日系ビジネスにも乗っていたが、今後は労務費自体の負担でそうなる企業も増えてくる可能性がある。

その結果として生じるであろうインフレと成長の減速がもたらす不満の高まりが、今後の不安定要因となる。その不満が爆発しないよう中国政府も苦心しているようだが、最近の株高もその意味では庶民のガス抜きとして機能しているようにも見える。実態以上に上がった株価が妥当な水準にまで落ちた瞬間に何が起きるかは容易に想像がつくが。

労働賃金上昇は結構ですが、それが結構なのは庶民の生活が豊かさを実感できるという結果が伴ってこそです。しかし、そこまで単純に皆がハッピーになれるほど中国の環境は単純ではない。