朝の京阪神地方は、晴天で北部山塊の空に積雲が見られ、早春の明るい空模様であった。
淀の馬場も日が射して、良馬場でレースは順調に進行していった。
昨夜来の天気予報も、馬券並に当たらぬこともあるものだと、思った。
午後の新馬戦が始まる。 パドックを回るウマの中に、テキーラという名が目にとまる。ウオッカの父タニノギムレットの産駒である。 またまた、谷水氏の所有かと予想紙を見ると、馬主はヒダカBUとある。
馬主が変わっても、ロシアからメキシコの酒へと、ギムレットのDNAは受け継がれていくのかと、感心もする。
ウオッカのイメージからか、予想紙は◎を打ってある。
ものは序でと、テキーラについて、競馬はさて置いといて(どうせ新馬戦はいつも観戦)、ウイキペディアを検索する。
テキーラはウオッカより強くたちまちに酔うとある。産地ではストレートで飲むので、高いアルコール度から喉を保護する為に塩をなめ、ライムを口に絞りながら飲むとある。馬のテキーラもウオッカ姉さん以上に強いのだろう。
テキーラがどんな走りをするかと、彼のみを注視する。 1800m しんがりで発馬したテキーラは向こう正面でグングンとピッチを上げ、坂の下りから更に追い上げ、4コーナーでは先頭に迫る。ウオッカの再現かと思っていると、直線に入るや、左右に蛇行、千鳥足となる。 テキーラに酔ったのか。
競馬って面白い。思わぬところで酒の勉強になった。
午後1時頃、にわかに北方の山がかすみだし、見る見る南下していく、比叡の山が消え、山崎、岩清水の丘陵が消えていく。 空はどんよりとした雪雲に覆われ、小雪が舞いだす。 窓外の景色はヴェールに消えて、視界300mほどになる。 さすがアメダスの威力と感心する。 もしウマダスがあれば、今日のきさらぎ賞も、苦労が無いだろうと思うことしきりであった。
然しである、1時40分ごろ、北の山の空が明るくなり、たちまち青空が見えだして、どんどんと広がっていき、雪雲を追い払ってしまった。
比叡、山崎、岩清水の山稜も以前よりくっきりと姿を現す。山端の空には積乱雲の峰がまぶしく輝いている。
驟雨と言う通り雨があるが、雪にも通り雪があるようだ。気象用語でなんと呼ぶのだろう? 驟雪?
アメダスは積雪を予想していたのに、近代予報器も完璧では無かった。
きさらぎ賞のパドックの映像が写リ出される。
問題のブラックシェル、がっしりした体形で前膞、大腿筋が盛り上がりたくましい。が、心なしか気合に乏しい。パドック解説者は、クラシックの為生まれた有力馬だと褒めちぎる。オースミマーシャルは小柄で、張りがもう一つである。 メイショウクオリアは気合十分、ナムラクレセント、マッキーバッハ、ヤマニンキングリーも落ち着いている。 レッツゴーキリシマは小柄ながら、艶がある。スマイルジャックはイレコミか気合かチャカついている。 アルカザンは気合十分、ダイシンプランも気合十分、レインボーペガサスは落ち着いているが 普通である。
ブラックシェルにアルカザンの気合が欲しい。 いよいよ甲乙付け難くなる。
かくなる上は、兼ねて推奨のヤマニンキングリーとスマイルジャックのどちらかを軸にと考え、ヤマニンキングリーを軸に取る。 頭には不安である、他に堅い頭も見当たらない。
そこで、初めて、ワイドなるものを、ヤマニンキングリーを軸に3、5、8、12、13、14へと流す。 その後ヤマニンK、スマイルジャックを軸に、3.、5、13,14 を付けて3連複を買う。
レースは、ブラックシェルが最後尾、武騎手特有の後方待機かと思う。 目はブラックシェルの動きに、注視し他の馬の動きは、眼中に無い。
4コ-ナーで漸く、前団に取り付くが、ヤマニンKとスマイルJがしのぎを削っている。ブラックは尚数馬身後方、武騎手珍しく盛んに鞭を入れるが伸び脚が無い。(ブラックの末脚が足らないのを危惧していたが)。
競う2頭を割るごとく、レインボーペガサスが差しきってゴールする。 アナウンサーは、レインボーペガサスが、驚いたレインボーペサスがと、ただ絶叫していた。(ブラックは発馬の出遅れと後で分かる)
暮れの有馬記念で、”驚いたマツリダゴッホが、驚いたマツリダゴッホが!”とのアナの絶叫が再現されることとなった。
レインボーペガサス 君の名は”天馬”である。 ダートを歩んだが故、誰も気が付かなかっただけなのだ。
2着、3着にヤマニンキングリーとスマイルジャックが入り、人気薄でワイド1900円、結果として元返しになった。
アメダスでも、完全に当たる事が無いのだ。 況して貧弱な手製ウマダスでは、ワイドが当たって良しとするか。
2月の中旬、雨水のきさらぎ賞の一日の出来事である。