2月27日に行われたデュッセルドルフのRosenmontagzug。
カーニバルの最高潮です。
街中を練り歩く行列はとても華やかで、その中で一際目を引く大きな山車。
その中にはMottowagenと呼ばれる痛烈な社会風刺のものがあり、毎年、世情を反映していて かなり面白いです。
どんなMottowagenが作られたか、というのは新聞記事にもなるし、デュッセルドルフ以外のドイツ人も興味があるようです。
ちなみに、このMottowagen、Jacques Tillyさんというデュッセルドルフ・オーバーカッセル在住の53歳の男性が率いるグループが1994年以降、構想から作成までしているそうです。
ヨーロッパ情勢とドイツ語の勉強と思って、新聞記事等を元に2017年のMottowagenのメッセージを読み解いてみようと思います。
間違っていることもあると思いますので、気になった方は是非教えて下さいね!
1.トランプ大統領が自由の女神を・・
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-13-2
見たまんまですね。
アメリカの自由の象徴に大変なことをしちゃってます。
2.トランプ大統領の処刑
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-09-2
憲法を手にした自由の女神がトランプ大統領の生首を持ってます。
フランス革命の後に処刑されたフランスの絶対君主ルイ16世を想起させてるらしいです。自由の女神はフランスからの贈り物ですしね。
3.Brexitは自殺行為
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-12-2
これもわかりやすい。英国のメイ首相がBrexitという名のピストルを口に突っ込んでます。しかも、下の方には"Good Luck, Great Britain!"と皮肉ってます。
4.シュルツ氏対メルケル首相
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-08-2
今年はマンモスにされちゃったメルケル首相に、首相戦の対抗馬・シュルツ氏が原始人となって襲いかかってます。Mammut(マンモス)とMutti(お母ちゃんの意味、メルケルさんの愛称)をもじって、Mammutiとはなかなかうまい造語ですね。
5.シュルツ氏は期待に応えられるか
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-10-2
シュルツ氏が、Umfragewerte(世論調査の数値)とうガスでパンパンに膨らまされ、真っ赤になっているというもの。メルケル首相の後任として大きな期待を受けているシュルツ氏がどこまで頑張れるか、という風刺ですね。
6.お腹に怒りが・・
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-14-2
書いてある文章は「お腹に怒りを貯めすぎると、民主主義はうまく行かない」。
「イスラム教は、ドイツには属さない」とか言ってイスラム教徒排除の極端な政策を取っているドイツの極右政党AfDに対する皮肉ですね。
7.ISに操られるAfD
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-01-3
Hass auf Muslime(イスラム教徒を憎め)と書かれたシンバルを持つAfDの男性を後ろで操っているのは、IS(イスラム国)。そして、unsere nützlichen Idioten(我々の便利な愚か者)と言ってます。イスラム教徒排除を謳う極右政党AfDは、実はISにいいように利用されているという構図ですね。
8.金髪は共産主義?
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-11-2
アドルフ・ヒトラーと並んでトランプ大統領, Marine Le Pen(フランスの政治家), Geert Wilders(オランダの政治家)。
"Blond ist neue Braun"。直訳すると「金髪は新しい茶色だ」。茶色はナチスドイツの茶色い制服に代表されるように、共産主義を指すらしいです。最近の扇動的な政治家がみんな金髪で、ヒトラーに通じるものがあるという風刺です。
9.民主主義から独裁政治へ
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-16-2
polnisch Regierung(ポーランド政府)がDemokratie (民主主義)のソーセージを食べると、Diktatur(独裁政治)が出てくるというもの。
犬の首には"Jaroslaw Kaczynskiヤロスワフ・カチンスキ"(ポーランドの与党「法と正義」の党首。首相よりもこの人が国政を牛耳っているらしい)の名前が・・。独裁化に向かっているポーランドへの風刺ですね。
10.エルドガンとテロリスト
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-03-3
トルコの大統領エルドアンがピエロに向かってテロリスト!と叫んでます。
これは、反エルドアン派のマスコミ関係者を多数、半ば強引に逮捕した事件を風刺しているそうです。ちなみにERDOWAHNは、ErdoganとWahn(妄想、狂気)からできた造語です。
11.蝕まれる民主主義
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-07-2
Demokratie(民主主義)という葉っぱを、5匹の芋虫たち、トランプ、プーチン、カチンスキ(上述)、オルバン(ハンガリーの首相)、エルドガンが食べちゃってます。
12.ツール・ド・フランス
http://www.antenneduesseldorf.de/rosenmontag17-15-2
自転車を漕ぐデュッセルドルフの市長、トーマス・ガイゼルさんが、drohende neuverschludung(差し迫る新しい負債)という鬼?悪魔?に追いかけられています。
ツール・ド・フランスを開催することで莫大な費用がかかり、街が負債を負うことへの批判ですね。
去年は難民問題やギリシャの財政危機、ISのテロ関連のものが多かったけど、今年は民主主義への危機感みたいなものが多いですね。
プーチン大統領とメルケル首相がよく登場してたけど、トランプ、エルドアンが今年は目立ちます。
どれもかなり強烈な風刺
でも、とっても面白い。
ニュースを見たり聞いたりして、事実の概要はわかっても、それが大雑把に言うとどういうことで、それに対してみんながどう思っているかって結構わかりにくい(そもそもドイツ語だし)
でも、こうやって山車で簡潔に表現してくれると、事実と世論を俯瞰できるから、感覚的に理解できます。
政治も風刺もほぼ興味なかったんだけど、理解できると面白いんだなあ
私的には大発見です。
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