本日11時45分
ぼくは急いでいた。
もの凄ーーーく急いでいた。
駅前で模擬授業のための道具を買い揃え、原付にまきつけ、勢い良く飛び出した。
学校ではたくさんの大人が打ち合わせしながら待ってるはずだから。
もしかしたら
その勢いがいけなかったのかもしれない。
5分くらい飛ばしながら走っていただろうか。
頭のなかは授業進捗の見極め具合で満ちていた。
ふと我に返り気がつくと
白いバイクがぼくの後ろをピタリと尾けていた。
完全防備で尾けていた。
「うわっ!」
思わず大声が出てしまった。
うかつだった!
やっちまった!
脳内ではこの5分間の走行状況の整理反芻が猛スピードで始まった。
二段階右折無視。
左指示器故障。
マフラー故障。
そしてただいまメーターは…目算55km/h
てか、自賠責切れてる…
マズい。
これは…
トぶ…
ぼくは
この被害をどう最小限に食い止めるべきか。
徐々に回転数を落としていくエンジンとは反対に
フル回転の頭で考えた。
考えた。
考えた。
思いつかねー!
てか自賠責切れてる時点で一発じゃん!
そして
非情の
いや
絶望のサイレンと怒号が鳴り響いた。
「そこの原付!左に寄せて止まりなさい!」
あぁ…
オワタ。
国家権力とはいかに強大であるか。
法規を守らない自分がいかに屑であるか。
これから思い知らされるのであろう。
ぼくはしおらしくメットを外した。
「学生さん?はい免許証出してー」
みるからに堅物そうな、平泉成似の隊員。
四半世紀で培った知恵と知識を総動員しても、説得できる気配すらない。
ぼくは彼が難攻不落の要塞に思えた。
「君が駅前で発進したときから見てたんだけどねぇ…」
じゃ止めろよー!
無意味に泳がせんなよ!
平泉成は饒舌に続ける。
「大体後ろにくくりつけてあるそれ何?それじゃナンバー見えないでしょ!」
模擬授業で使う廃木材、苦労してやっと手に入れたのに
この廃木材でたくさんの子どもの目が輝くはずなのに
どうやらこの場にはふさわしくないようだ。
そして国家権力が罪状を読み上げていく。
どうせ免停だ。
講習行く時間あるかな?
チャリも後輩にあげちゃったしな。
みんな待たせてしまって申し訳ないな。
てかもう始まってるよな…
国家権力の言うことなど右から左で
これからどうしてこうかと最大限前向きにシフトチェンジしていった。
「…だから以上4点ね。」
…ん?
突然、法螺貝の音が鳴り響いた。
ヨンテン?
風向きが変わるのがはっきり感じとれた。
ひょっとして…タスカッタ?
強張った顔がみるみる安堵の表情に変わりゆく様子は
たとえ5m離れていても容易に確認できたであろう。
彼は金額の書かれた薄っぺらい紙をぼくに手渡し
颯爽と去っていった。
優しさなのか、節穴なのか…とにかく
耐えたー!
生き残ったー!
まぁ、切られたことには変わりないんだけども…。
そっからは
10秒ごとにミラーを見ながら
決して35km/h以上は出さない超安全運転で走行。
そして大学に着いて…
陳謝。
陳謝。
陳謝。
国家権力より怖い存在が、そこにはいた…
追伸:
帰り道でのこと。
「緊急車両が通りますので、道を開けてくださるようお願いいたします!」
こんなに丁寧な救急車は初めて見た。
言い方の工夫ひとつで、受け取る側の気持ちも変わるもんね。
ぼくは急いでいた。
もの凄ーーーく急いでいた。
駅前で模擬授業のための道具を買い揃え、原付にまきつけ、勢い良く飛び出した。
学校ではたくさんの大人が打ち合わせしながら待ってるはずだから。
もしかしたら
その勢いがいけなかったのかもしれない。
5分くらい飛ばしながら走っていただろうか。
頭のなかは授業進捗の見極め具合で満ちていた。
ふと我に返り気がつくと
白いバイクがぼくの後ろをピタリと尾けていた。
完全防備で尾けていた。
「うわっ!」
思わず大声が出てしまった。
うかつだった!
やっちまった!
脳内ではこの5分間の走行状況の整理反芻が猛スピードで始まった。
二段階右折無視。
左指示器故障。
マフラー故障。
そしてただいまメーターは…目算55km/h
てか、自賠責切れてる…
マズい。
これは…
トぶ…
ぼくは
この被害をどう最小限に食い止めるべきか。
徐々に回転数を落としていくエンジンとは反対に
フル回転の頭で考えた。
考えた。
考えた。
思いつかねー!
てか自賠責切れてる時点で一発じゃん!
そして
非情の
いや
絶望のサイレンと怒号が鳴り響いた。
「そこの原付!左に寄せて止まりなさい!」
あぁ…
オワタ。
国家権力とはいかに強大であるか。
法規を守らない自分がいかに屑であるか。
これから思い知らされるのであろう。
ぼくはしおらしくメットを外した。
「学生さん?はい免許証出してー」
みるからに堅物そうな、平泉成似の隊員。
四半世紀で培った知恵と知識を総動員しても、説得できる気配すらない。
ぼくは彼が難攻不落の要塞に思えた。
「君が駅前で発進したときから見てたんだけどねぇ…」
じゃ止めろよー!
無意味に泳がせんなよ!
平泉成は饒舌に続ける。
「大体後ろにくくりつけてあるそれ何?それじゃナンバー見えないでしょ!」
模擬授業で使う廃木材、苦労してやっと手に入れたのに
この廃木材でたくさんの子どもの目が輝くはずなのに
どうやらこの場にはふさわしくないようだ。
そして国家権力が罪状を読み上げていく。
どうせ免停だ。
講習行く時間あるかな?
チャリも後輩にあげちゃったしな。
みんな待たせてしまって申し訳ないな。
てかもう始まってるよな…
国家権力の言うことなど右から左で
これからどうしてこうかと最大限前向きにシフトチェンジしていった。
「…だから以上4点ね。」
…ん?
突然、法螺貝の音が鳴り響いた。
ヨンテン?
風向きが変わるのがはっきり感じとれた。
ひょっとして…タスカッタ?
強張った顔がみるみる安堵の表情に変わりゆく様子は
たとえ5m離れていても容易に確認できたであろう。
彼は金額の書かれた薄っぺらい紙をぼくに手渡し
颯爽と去っていった。
優しさなのか、節穴なのか…とにかく
耐えたー!
生き残ったー!
まぁ、切られたことには変わりないんだけども…。
そっからは
10秒ごとにミラーを見ながら
決して35km/h以上は出さない超安全運転で走行。
そして大学に着いて…
陳謝。
陳謝。
陳謝。
国家権力より怖い存在が、そこにはいた…
追伸:
帰り道でのこと。
「緊急車両が通りますので、道を開けてくださるようお願いいたします!」
こんなに丁寧な救急車は初めて見た。
言い方の工夫ひとつで、受け取る側の気持ちも変わるもんね。