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マラソンでエールを

今回は『第6回掛川・新茶マラソン』に出場した、
近藤洋史さんのエピソードをご紹介します。

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近藤さんのもとに一通のメールが届いた。
掛川・新茶マラソン大会事務局からだった。
『マラソン大会を開催します』
4月17日に予定されていたものの、3月11日の大震災によって
自粛ムードが高まっていた中での連絡だった。

マラソン歴25年の近藤さんは、「完走できればいい」というスタンスから、
今まで他の人よりものんびりとしたジョガーだった。
しかし、"アラフィフ"という年齢もあり、昨年から健康のために
毎朝走ることにした。そのかいあって、体重が8㎏程度絞れた。
"肉体改造"後の初マラソン。
内心、走りたい気持ちが強かったが、今のタイミングでは
無理かも知れない、と半分諦めていた。
そんな状況にあっての決行だった。
「ありがたいなあ」
近藤さんは素直にそう感じた。

大会には『復興支援 頑張ろう東日本』というスローガンが掲げられた。
運営スタッフやボランティアの人たちからは
「絶対に成功させてやろう」という並々ならぬエネルギーを感じた。
近藤さんは走ることのできる喜びを噛みしめながら、
アップダウンが連続する茶畑の道を駆け抜けた。
今までにない快調なペースだった。

この大会の最大の特徴は、フルーツステーションという
休憩所があることだ。
コース中に点在し、イチゴ、メロン、キウイ、オレンジなどが
振る舞われる。とはいえ、無限にあるわけではない。
毎年参加しながらも、いつも最後方を走っている近藤さんは、
到着するとフルーツが少ないとぼやくこともあった。
今年は真ん中あたりの順位につけていたので、
食べ損ねる心配をしなくていい。
そんな安心感があることを気づかせてくれた。
「当たり前のようにある果物だけど、
すべて地元の方々のご厚意なんだよなあ」

日本各地では"食料買い占め"問題が起きていた。
そんなときにあっても変わらず提供してくれる。胸が熱くなった。

ありがとうの言葉をステーションの人たちに伝えてコースに戻ると、
工場のような大きな建物が見えた。浜岡原発だった。皮肉だと思った。
このときはまだ稼働中で、複雑な思いが頭を駆けめぐったという。

ゴールタイムは3時間45分。いつも5時間スレスレだったから、
この記録には自分自身が一番驚いた。自己ベストを大幅に更新したのだ。

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だけど記録よりも大切なことがある。
誰もが微力であっても被災者の力になりたいと思っていた。
ランナーもスタッフもボランティアも
全員が一体感になっていたような気がした。
もちろん設置箱に募金もした。

遠く静岡からでもエールを送れたこと。
それは近藤さんにとってかけがえのない貴重な体験となった。


(文責:スポーツライター金子塾 滝沢)