『 ラスベガスをぶっつぶせ 』 | 横浜紅葉坂シネマ倶楽部

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映画・音楽の感想を中心に・・・(注:ネタバレあり)


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【 制作 】 2008年

【 監督 】 ロバート・ルケティック

【 出演 】 ジム・スタージェスケイト・ボスワース

        ケビン・スペイシー、ローレンス・フィッシュバーン 他

【 時間 】 112分


【 内容 】

主人公はマサチューセッツ工科大学に通う学生のベン。

彼は卒業後にハーバード医科大に進む夢を持っていたが、

試験には合格したものの家庭が裕福でない彼にとって、

学費と生活費の30万ドルはとても支払えない金額・・・


頼みの綱は奨学金だが、面接官に「君には小論文に書けるような、

人とは違う、驚嘆に値する人生経験があるか?」と尋ねられ、

答えに窮してしまう。


幼い頃から勉強のために全てを犠牲にしてきたベンには、

そんな特別な経験があるはずもない。

今現在も時給8ドルのバイトと日々の学校での勉強、

そしてオタク友達とロボット大会に出るための準備だけで、

毎日が一杯一杯なのだ。


「人生は金じゃないと思っていたのに・・・」と落胆。

学校一の美女であるジルを遠くからオタク友達と一緒に眺めては、

これまでの犠牲の結果である今の自分の姿にまた落胆・・・


そんなある日、ベンが夜遅くまで図書館で勉強していると、

1人の学生にとある教室に呼び出される。

そこには数学講義の教授であるミッキーと数人の学生の姿。

その中には憧れのジルもいた。


彼らはミッキーの元でチームを組み、

週末や祝日にラスベガスのカジノへと赴き、

統計的にカードを読む「カウント」を行うことで、

ブラックジャックで大金を荒稼ぎをしていた。


ミッキーは講義中での質問に対するベンの回答から、彼の優秀さ、

そして感情に走らず、常に理論的に考える冷静さに目を付け、

一緒にラスベガスへ行って金儲けをしようともちかけたのだ。


最初は断り続けるベンだったが、

学費に困っていた彼は教授のもとを訪れ、チームに入ることに。

そして、あっという間に大金を稼ぐようになっていくのだが・・・


【 感想 】

マサチューセッツ工科大学の学生達がベガスで6億円を荒稼ぎした、

という実話に基づいた作品。


まず、この映画に出てくる「カウント」について説明すると、

ディーラーから配られるカードを次々と点数化して集計し、

残りの「これから配られるであろうカード」を予測して賭けることで、

統計的・確率的に勝率を上げるテクニック、といったところだろうか。


前提として、「10になる絵札の数が多ければ多いほど、

ディーラーよりもプレイヤーが有利になる」という、

ブラックジャックというゲームの持つルールの「穴」がある。


10・絵札・Aの勝ち札は「-1点」、2~6の負け札は「+1点」、

7~9のミドルカードは「0点」として計算し、

ゲームが半分まで終わった頃に点数が高ければ、

すでに多くの負け札が出尽くしていて、

これから絵札が多く配られるということになる。


しかし、1人でやるのは効率が悪いうえに怪しまれるため、

彼らはチームを組み、役割を「偵察役」と「プレーヤー」に分ける。

偵察役はあちこちのテーブルで最小限の掛け金でゲームをしつつ、

カードを点数化しながらチャンスが来るのを待つ。


チャンスが来たらプレーヤーにさり気なくサインを送り、

プレーヤーは何気なくそのテーブルにつく。

そのタイミングで、偵察役は現在の「点数」を、

プレーヤー以外には分からない暗号で伝える。


たとえば、+15=「指輪」と仲間内で単語として覚えておき、

偵察役が「そう言えば、結婚指輪忘れた」とつぶやく。

プレーヤーはその単語から確率を考え、掛け金を決める。

その後はプレーヤーもカウントして残りのカードを読み、

潮時を読んでゲームをやめる、といった具合。


結果、ベンはプレーヤーとして次々に大金を稼ぎ、

あっという間に10万ドルを貯めてしまう。

しかし毎週末ラスベガスで荒稼ぎをするごとに、

少しずつ彼の生活も変わっていってしまう。


高価なスーツを着てブランド品を買いあさり、

リムジンでの送迎、ホテルは最上階のスイートルームに宿泊。

夜はチームのみんなと酒を飲み、クラブで盛り上がる。

当初は30万ドルを貯めてやめるはずだったが、

30万ドル以上を貯めても、やめられなくなっていた。


憧れのジルもモノにすることができたが、

一方でオタク友達とは疎遠になり、友達を解消されてしまう。

苛立ったベンはカジノで「カウント」ではなく「バクチ」をして、

チームの莫大な稼ぎを全てフイにしてしまう。


激怒した教授はベンを見限り、稼ぎの返済を要求。

学生たちを置いてホテルを出て行ってしまうが、

残されたベンは、教授抜きで稼ぐことをチームに提案。

カジノで勝負に出るが、教授がカジノに通報し、

ベンを以前からマークしていたカジノの用心棒、

コールに捕まってしまう。


カウントは違法ではないが、カジノではご法度。

ベンは椅子に縛り付けられ、コールに痛い目に合わされる・・・


やっとの思いで大学の寮へ戻ると、

部屋に隠しておいた学費と生活費は全て教授に没収され、

おまけに単位まで落とされ卒業すらできなくなってしまう。

全てを失いなす術のないベンは、教授に頭を下げ、

もう一度、最後に一緒に勝負をしたいと申し出る。


ベガスへと舞い戻ったベンは変装し、

教授とともに再びカジノで「カウント」を行う。

ここでもカジノの用心棒コールに発見されて逃げるものの、

じつはこれは教授を用心棒に引き渡すための、

当初からの計画だった。


じつは教授はこれまで何度もカジノで「カウント」を繰り返し、

用心棒コールが留守の隙に一晩で100万ドルを荒稼ぎして、

姿をくらましていたのだ。


「単位のことは心配しなくていい」とベンに話す用心棒のコール。

しかし、稼いだチップは全てコールに横取りされてしまい、

結局、学費と生活費は稼げずじまい。


だが、以上の顛末を全て奨学金の面接官に話し、

結果として無事に奨学金を得てハーバード医科大へ。

そしてコールが横取りした金で引退していなくなったこともあり、

ベンはオタク友達と仲直りしてチームに加え、

再びカジノで荒稼ぎをするのだった。


さらっと見てしまうと「カウント」の部分が全く理解できないが、

全体のテンポも良く、実話を基にしていることを考えると、

なかなか面白い話だった。



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