【 制作 】 1997年
【 監督 】 ガス・ヴァン・サント
【 出演 】 マット・デイモン、ロビン・ウィリアムズ、
ベン・アフレック 他
【 時間 】 127分
【 内容 】
ある日、マサチューセッツ工科大学の数学教授ランボーは、
廊下の黒板に問題を書いて、受講生達に挑戦するように促す。
それはノーベル賞数学者や高名な宇宙物理学者、
そしてかつてランボー教授自身も解いた難問だった。
ところが翌週、黒板にはあっさりと正解が書かれていた。
「一体、誰が?」
教授は「謎の天才」の正体を突き止めようとするが、
それは受講生ではなく、大学のアルバイト清掃員であるウィルだった。
しかし、ウィルは天才的な頭脳を持ちながら、
暴行傷害や車の窃盗を繰り返してばかりの問題児でもあった。
ウィルは暴行傷害で鑑別所に入れられるところだったが、
教授はウィルの非凡な才能を開花させようと、
判事から監督付き保釈の同意を得る。
そしてウィルに2つの条件を出す。
1つ目の条件は、毎週教授と会うこと。
2つ目は、セラピーを受けること。
ウィルはセラピーに不満を持ちつつも、教授の申し出を承諾する。
そして教授は何人ものセラピストにウィルを診てもらうのだが、
ウィルはセラピストを小馬鹿にするばかりで、まともに向き合おうとせず、
ことごとくサジを投げられてしまう。
困った教授は、コミュニティ・カレッジで心理学を教える学生時代の友人、
ショーンにウィルを紹介する。
最初の面談、ウィルはやはりショーンを小馬鹿にするが、
亡くなった妻を侮辱されたショーンはウィルの首を掴み、
鋭い眼光で彼を睨みつける。
そして、ウィルとショーンは面談を重ねていくのだが・・・
【 感想 】
天才的な頭脳を持ちながらも、幼少期に愛を得られなかった不遇により、
人を信用せず、固く心を閉ざしたまま殻にこもり、
人生での「勝負」に踏み出せないでいる孤独な青年。
愛する妻を亡くし、深い絶望と悲しみによって、
2度目の「勝負」から逃げているセラピスト。
2人が出会い、心を通わせ、それぞれが旅立っていく・・・というお話。
「君は悪くない」と繰り返すショーンに、
ついに耐え切れず、泣き崩れてショーンを抱きしめるウィル。
このあたりは名シーンだと思う。
一見、非凡な才能と不遇の生い立ちを持った青年の特別な話に見えるが、
自ら道を決め、失敗を恐れず、人生の勝負に出るという、
じつは誰しもが通らなければならない過程を描いた、
ある意味、見る側がとても感情移入し易い作品だと思う。
自分も大学を卒業した当時、就職氷河期だったこともあり、
卒業してから無職のまま過ごした時期があった。
しかし、今思い返してみると、それは結局「言い訳」でしかなくて、
本当は「自分が何かの道に賭ける」ことが怖かったのだと思う。
1つの選択肢を選ぶということは、
同時にその他の選択肢を捨ててしまうことを意味する。
当時は、そのことが心底怖かった。
無職の時期は自分がどうしたいのか、ひたすら自問自答し続けたが、
それは気楽さとは無縁の、恐ろしく不安でストレスの溜まる、
苦しい毎日だった。
そんな日々に答えが見出せたきっかけは、友達だった。
彼は大学を卒業後、毎年数%しか合格者の出ない難関試験に、
数年前からコツコツと勉強しながら挑戦し続けていた。
自分はそんな友達を傍で応援しながら、どこか心配もしていた。
「何年も失敗し続けて、結局受からなかったらどうするんだ・・・」と。
ところが、彼はある日、見事にその試験に合格した。
人生の勝負に出て、その切符を掴んでみせた。
その時、自分の中で目の前の霧が晴れたような気がした。
その後、自分は希望の職場の試験を受け、
無事に入ることができた。
悩んだ時間は決して短いものではなかったが、
さんざん悩み苦しんだうえで自分が出した結論なので、
そのぶん、働き始めてからは迷いや疑問とは無縁である。
今では遠回りした苦しい時間も無駄ではなく、
自分にとっては意味があったのだと感じている。
という訳で、
是非、将来に悩んでいるような若者に見てもらいたい。
そんな良作。
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