フィリピンペソ(P)は2倍すれば日本円になります
ようやくマニラから離れられる
四六時中街を汚染し続ける小便とドブの臭い、そこら辺に流れ出る正体不明の七色の液体
物乞いしてくる子供たちにしつこい客引きにポン引き、つり銭をせがむタクシー運転手
ほとほとこの街には嫌気がさしていた
フィリピンといえばマニラかも知れないけど・・・・はっきりいって俺この街大嫌いです
日記には家族を心配させたくないから書かなかったけど、凄い鬱になってホテルから出たくなかった
だからマニラを離れられる日が待ち遠しくてしょうがなかった
次の目的地はルソン島を南にバスで10時間南下したところにあるナガという街
結構大きな町なんだけど、観光地ではないからガイドブックには情報が載っていない
普通は飛行機でいくらしいけど、節約と景色を見たかったから俺はバスを選択した
フィリピンでは高級バスに入るフィルトランコのエアコンつきバスは、ナガまで680P
朝9時初のこのバス、しかしここでトラブルが発生した
朝ホテルでバスのチケットを確認したら、8日に予約したはずなのに、出発日が12日になっている
俺が間違えたのか、受付が間違えたのが知らないけど、このままでは今日中にマニラを離れるのは無理
多分オフィスに行ってその事を伝えたら、言った言わないの押し問答になって結局乗れない事は目に見えていた
乗ってさえしまえばこっちのもの。どうしてもその日中にマニラを離れたかった俺は、知らん顔して乗ってしまおう作戦に出ることにした。ここはフィリピンだぜ!多分大丈夫だよ
バスターミナルついた俺は内心どきどきしながらバスのチケットをドライバーに見せたら、彼は日付を確認もしないで、「このバスだ、もうちょっとしたら出発だぞ」と乗るよう促した
チケットにはシート番号が書いてあって、俺のナンバーは9
そのナンバーのシートには既に先客が座っていた・・・どうしようか考えていたら、運転手が俺のチケットを見せてみろと取り上げ、シートナンバーが被っていることがバレてしまい、万事休す
バスの運転手がオフィスに確認しに一旦バスから降りた時点でもう終わったなって思ったんだけど、俺はシートにしがみついてでも降りない覚悟でいた
そして戻ってきた俺のチケットにはシート番号に斜線が引かれ19に書き換えられていた
日付も確認せずに、シート番号を間違えたと早合点したようなのだ。実にラッキーである
俺は知らん顔したまま19の席に座り、10分後にバスは出発した
俺の隣に座っていたのは中年のフィリピーノ女性
なんだか随分疲れていたよなので、話しかけようかどうしようか迷ったけど、10時間も隣にいて無言なのも嫌だったし、話せば英語も上達するから話しかけてみました
「これからナガにいくの?」彼女はけだるそうに「そうよ」
「ナガに住んでるの?あなたのホームタウン?俺もナガに行くんだけどナガはどう?」彼女はまた気だるそうに「そうよ、私はナガに住んでてこれから帰るところなの」・・・
おもむろに携帯をいじりだしたので、やっぱ話したく無かったんだなって思ったら、携帯の画面を見せてきて「これは私の娘よ」「へーあなたにそっくりだね」
って話が弾むと思いきや、今度は電話し始めて、タガロフ語で誰かと話し始めた
そしていきなり俺に電話を渡して来て「私の娘よ、ナガのことでわから無い事があったら聞きなさい」・・・・あんたが教えてくれるんじゃ無いのかよ?えーーー??
全く親切なんだか、親切じゃないんだかよくわからない人である
電話を渡された俺は非常に困ったんだけど、とりあえず軽く自己紹介だけして彼女に電話を返した
彼女の話によると、彼女の友達が日本の磐田市に住んでいて、きっとあなたの助けになってくれるから、尋ねてみてって事みたいで、後でそのお母さんの携帯にFBのアドレスが送られてきた
連絡しろてろと言う事らしい
そんなやり取りをしているうち、バスは次のピックアップ場所について、バスに売り子がどんどん乗り込んでくる
主にレイバンのサングラスやスウォッチの時計なんだけど、どれも1000P以下で非常に安い
多分偽物なんだろうけど、スウォッチの時計って本物でも精々10000円しないくらいなんだよね。安物の偽物ってどうなの?
俺はその中から空港でうっかり手荷物に持ってきてしまったナイフを没収されてたから、ナイフを新しく500Pで買ったんだけど。まぁそのあとが大変で
一回買ったもんだから、俺はすっかり売り子に囲まれて、サングラスだの時計だのを次々に押し付けれて「そんなに近づけたら見えないっちゅうねん!!」
なかでも非常にユニークだったのが、「侍ポール」である
長さ40センチくらいの鉄のポール。ぱっと見ちょっとながい警棒に見えるんだけど、なんで侍ポールなんだろう
ちょっと興味をもって売り子に持たせてもらったら「先っちょを回して抜いてみろ」と太っちょの売り子は言って来た
言われたとおりに抜いてみたら中から出てきたのは刃渡り40センチ程の日本刀である
「デンジャラス!!」と言って直に納刀して売り子に返したら
今度は売り子がバスの通路で抜刀して組み立ててしまった。長さは柄の部分を入れると80センチを超えており、立派な日本刀である。所謂仕込杖というやつだ
「がははは どうだジャパニーズ!!かっこいいだろう」「お前はクレイジーか?バスの中でそんなもん抜きあがって」って言ってるのは俺だけで、バスに乗っている客は一切気にもしない・・・どうなってる?この国は
日本だったら一斉に乗客がバスから逃げ出して、30分後には警察車両が30台近く来るぞ・・・下手したら自衛隊も出動するレベルだぞ
「どうだ?やすくしておくぞ!!お前はジャパニーズだろ?ジャパニーズならこれを腰に下げる必要があるだろう?」
値段がいくらか尋ねた俺に、隣に座っていたおばさんが嫌そうな顔して「やめときなさいよ、あなたには必要ないでしょ」と俺を諭してくる始末である
俺は売り子に「そんなもの腰にぶら下げていったいどうしろってのよ?」「お前はジャパニーズだから、これを腰に下げれば侍になれるだろ?」
「侍になってどうするんだ?」「侍は悪い奴をこうやってぶったぎるんだろ?がはははははh」とオッサンは狭い車内で侍ポールぶん回す
「俺は侍じゃなくて忍者だからそんな物は必要ないよ」「がははははは わかったよ気が変わったら早く来いよ、忍者にも刀は必要だろ?がははははは」と笑いがらバスを降りていった
面白オッサンだったが、やはりマニラはけしからん街である
頭のねじがトんでる売り子たちもバスから降りて、バスはゆっくりとマニラの街を離れていった
バスの中ではさっきのおばさんと再びトークを試みるが、ナガの街の事を聞くと、「娘に聞きなさい」と流されるのである
非常にぶっきらぼうなおばさんで、話してる最中もニコリともしない。でもそのオバサンがバスの中で放映されていたジャッキーチェーンの映画を見て一瞬だけムフフと笑ったのを俺は見逃さなかった
移動中もぶっきらぼうながらもたまに俺にお菓子をくれたり、ちょっとだけ話してくれるようになった
やがてバスは休憩のため小さな町の食道に停車した
俺はあまりお腹がすいてなかったので、ボーっと食道でフィリピーノを観察してたら、さっきのオバサンが俺を手招きしてるのでいってみたら、そこにはカップラーメンが二つ用意されていた
「食べなさい」「いくら?」「あなたは払わなくていいわ」
俺たちは無言でラーメンをつついた
相変わらずオバサンは無言でぶっきら棒だけど、あれやこれやと世話を焼いてくれる
まるでお母さんのような人だ。だからここではお母さんとお呼ぼう
バスに乗ってからも喉が乾いたと言えば飲み物が出てきて、お腹が空いたと言えばお菓子が出てきて、美味しいと言えば「全部食べなさい」と命令されるのである
それでも一切ニコリともしないお母さん
彼女は携帯電話を持っていたので、厚かましいお願いだとは思ったが、ホテルにピックアップの電話を入れてくれないかと頼んだら「プリペイドが切れてるから、到着するまで待ってなさい。何とかしてあげるから」との事
到着したバスターミナルで待っていたのは、お母さんの娘とその友達
お母さんは約束どおり電話してくれるらしく「ついて来なさい、こっちに公衆電話があるから」
といって付いていった先にあったのはただの売店・・・・そこに所謂「家電」がどんと置かれていて、お金を売店に払って使うシステムらしいのだ
お母さんは約束どおりホテルにピックアップの電話を入れてくれたんだけど、ホテル側がピックアップに来れないらしく、俺はバイシクルでホテルに向わないといけないとの事
今度はお母さん、また「こっちに来なさい」と俺をバイシクル乗り場に連れて行って、バイシクルに乗せてくれたんだけど、俺だけじゃなくてお母さんやら娘やらその友達までもぞろぞろと乗って来るではないか
「え?どこ行くの?お母さんの家は反対方向でしょ?」「あなたのホテルに向うのよ」といってバイシクルはそのまま出発
走る事10分・・・俺の予約してあったホテルに到着
お金を払おうとしたんだけど、ここでもお母さん、俺にはお金を払わせてくれなかった
結局チェックインも全部やってくれて、そのまま「気をつけなさいよ、あなた日本人なんだから」と言って娘ともども帰ってしまった・・・
なんだかこのままでは味気ないと思った俺は、彼女たちとFBを交換してあったので、後で連絡を取って次の日お母さんも一緒にランチに誘いました
なんだか騙されているんじゃないかと思っている人もいるかも知れないど、俺は全く持って疑っていません
理由は、俺からしつこく話しかけて仲良くなった事、彼女たちはマニラ人ではない、そしてお母さんがめちゃくちゃ愛想が無くて笑わない人だったから。ランチに誘ったのも俺の方からだし
詐欺師は大体めちゃくちゃフレンドリーで常に笑顔を忘れない、どこの国でもここだけは共通してる
結果はまた明日
長々とありがとうございました
夜一人で行ったフィリピーノ食道
やっぱ一人のディナーは寂しいわー



