アクティビティでしょ
九州から一週間掛けて戻ってきた俺たちは、岐阜県の長良川を目指した
長良川といえば、この時期は鮎釣りが解禁され、川岸には所狭しと釣り人が並び、町の飲食店には「鮎始めました」のノボリが子供の日の鯉のぼりのように町中にはためいている
俺がここでやりたかったアクティビティはラフティング
わからない人はボートで川を下るスポーツだと思って貰っていい
よく渓流下りと勘違いされがちで、俺もこの時点では違いがよくわからなかった
実際は全然別物。興味ある人は最後まで読んでください
料金はいくつかプランがあって、俺たちの選んだプランは半日ロングコースのツアーで6000円前後だったと思う
朝ラフティングのオフィスに着いた俺たちは、簡単な申し込みを済ませ、説明を受け、最後にヘルメットとウェットスーツを手渡された
ウエットスーツに着替えた俺たちは早速彼らのバンに乗せられら、長良川の上流スタートポイントまで連れて行かれた
道中、ウエットスーツにライフジャケットとヘルメットの重装備に不思議に思った俺は「結構濡れる感じですか」とスタッフのボスらしき人に聞いたら
「自分たちが大事なお客様をぬらす筈無いじゃないですか。水一滴たりとも触れさせませんよ」と
「これは一応安全のためですから」となにやらニヤニヤしながら答えた
なんかおかしな空気・・・・・
スタートポイントに着くと、自分たち以外にも、学生の団体客のボートが大量に浮いていて何やら騒がしい
今回のツアーでは8人乗りのボートを使うんだけど、この日申し込んだのは俺たち2人だけ
アクティビティの性質上最低5人は必要らしく、俺たちの他にネパール人スタッフ二人とボスが乗り込んだ
スタートする前にボートから落ちた人のレスキューの仕方や、ボスの特定の支持ですばやくオールを漕いだり、ボートの重心の傾きを調節したりのチームプレイをレクチャーされる
一通り終わりやっとスタート
最初は緩やかな流れから川幅が狭くなると流れは速くなりボートは上下に激しく揺れだす
ボスの支持で「よってー」が出ると、全員体育座りをしてボートの中央に寄ってボートから落ちにくいポジションを取って、衝撃に備える
こんな感じで最初の急流を無事にわずかな水しぶきを浴びるのみでクリアすると、川の岸辺にはスタッフのカメラマンがカメラを構えている
みんなでポーズをとったりして和やかな雰囲気で撮影をしていると、ボスが「じゃあ次のポーズ行きます」
「みんなちょっと立ち上がって左足をボートのへりに乗せてー」
言われた通りにする俺たち
「はい、そしてらちょっと川の方へ体傾けてくださーい」
言われたとおりにするとボートが傾き
ボートがひっくり返るぞと思っていると、俺たち以外のスタッフがヘリにかかった左足に力を入れて踏ん張っている
おいおい をまえら・・・・
結果はこうである
水を一滴も掛けないと約束してくれたボス
5時間のツアーで始まって10分後 ワレラノフネ チンボツス ナガラガワニ チル
ラフティングはこういうスポーツです
始まって10分 俺はようやく理解した
しかし、嫁の悲劇は終わっていなかった
転覆したあと川にボーっと浮いてた嫁のライフジャケットに、ボスがボートのフックを引っ掛けた
結果はこうである
ボートを戻すときに引っ張り上げられ宙吊り状態
そしてまな板の鯉とドヤ顔のボス
すき放題もてあそばれる嫁
この日は川の水の量が少なく流れが弱く、時には漕がないと進まない時もあるくらい暇な時もある
そうすると何やらボスがまたニヤニヤと悪い事をたくらみ始める
「バランスゲームしましょう」「なにそれ?」
「まぁまぁ」流れの無いところにボートを進めると「ちょっとボートの先っちょに立ってくれますか?」
言われたとおりにするがボートがグニャグニャしてて立ち上がるだけでもフラフラする
「僕らこれから左周りに思いっきり漕ぎますから、2週耐えたらビール奢りますよ」
と、俺の返事も待たないまま回し始め、いきなりバランスを崩した俺は、内側のボートの中に落ちた
ボスが「ちょっとーー落ちるのは構わないんですけど、大人の対応ってわかりますよね?」「もう一回やりましょう」
こうして再度俺のチャレンジが始まった
2回目は構えていたので一周目はなんとかクリア、しかし二週目半でバランスを崩し、今度はしっかりと「大人の対応」川の方に落ちてやった
ボスはとっても満足そうな顔である。ちなみに嫁は2回チャレンジしたが、2回とも嫁が落ちるスピードは消費者金融のスピード審査を超える早さであった
この後も何かにつけちゃゲームだの安全講習だの理由をつけて俺たちは川に叩き落された
水の量が多いと、もっと流れが早くデンジャラスで面白いらしいけど、この日は川に落ちたり、崖から飛び降りゲームをしたりしてその埋め合わせをしていった
お勧めは、台風が来た次の日、マニアックな人はそんな日を狙って予約をしてくるのだとか
鮎の稚魚が帰ってくる長良川のある日の一日
川幅によって流れが変わる川のように、毎日変わる車窓からの景色も今日で最後
俺たちの約2ヶ月に及んだ旅も、日の出とともに終わりを告げ、鮎が川に帰る様に俺たちも自分たちの場所に帰っていった。
後日談
家に帰って来た直後、急に具合が悪くなり高熱と下痢
多分ラフティングの時に川の水を飲んで中毒を起したんだと思う
その後も本格的な夏風邪をひいたりで家にいるとろくな事がおこらない
早く次の旅に出ろって事だろうな





