茶色やオレンジを基調とした空間にコンマスの音が響き渡る

続いて弦楽器 管楽器と音が協和していく

低い音が加わり、全ての音がなるこの瞬間が好きだ。チューニングの一幕はこれから何か凄いことが始まるのではないかという予感や緊張感を感じさせてくれる。


一曲目はウェーバーの「魔弾の射手序曲」

曲自体は忘れてしまったが、俺が初めてピアノで弾いた思い出深い曲でもある

きっと聴けば思い出すであろう


もったいぶった指揮者の登場も嫌いじゃない

もったいぶれば、もったいぶっただけの効果があるというものだ


指揮者の合図とともに音が鳴り始める

久しぶりの生音

俺は目をつぶり空気を伝ってくる音を全身の毛穴から感じ始めた・・・・?

ん?誰だ?

法螺貝吹いてんの?

っていうかオケの編成に法螺貝なんてないだろうが!!

「ぶぶ ブフォ ぶっふぉ~」 なんだこの炭酸の抜けたコーラのように萎える音は!

お前か!!ホルン!!!!

戦国時代の武将だってもっとうまく吹くぞ!

わかるよ!わかる! 確かに管楽器の音は目立つし音を出すのが難しいよ

でもこれオーケストラだぞ!

泣く子も黙るオケだぞ!!

これじゃ泣かない子も泣くぞ!っていうか俺も泣きそうだよ!

さっきの緊張感返しくれ!!!!!!

と思ったのもつかの間、今度はトロンボーン、トランペット チューバとまるで打ち合わせでもしてたんじゃなかというくらいにおかしな音を出し始める。ラピュタのパズーの方がトランペットうまく吹くぞ

一方指揮者は非常に楽しそうだ。ノリノリである

指揮棒が飛んでいきそうな勢いで腕を振り回す

いっそうのこと、その勢いで指揮棒飛ばしてホルンのドタマに指揮棒突き刺してくれないかな・・・

っていうか、さっきから気になってたんだが、全体的に合ってない

誰も指揮みてないだろ

唯一指揮のテンポ通りのリズムで演奏できてるはティンパニーだけだ

これじゃ協和じゃなくて凶和だろうがよ

いくら聴いても「魔弾の射手序曲」がどんな曲だったかおもいだせねーよ


演奏?が一通り終わり、不思議と拍手が鳴り止まない中、指揮者がホルンを立たせた

説教が始まるのか?公開処刑か?と、思ったが

楽器ごとに立たせて挨拶をさせただけだった


オケが退場したあと、後ろの席から「楽屋で反省会でもしてるんじゃないか?」という話し声が聞こえてきた

そう、これは俺が特別耳がいいわけでもないし神経質なわけでもない、誰もがオカシイと思う演奏なのだ


次の曲目はショパンのピアノ協奏曲一番

ピアノ協奏曲としての評価はかなり賛否両論あるが、俺はショパンの甘美な旋律があますとこなく施されたこの曲は嫌いじゃない。

オケパートは伴奏程度の出番しか与えられてない事が批判の理由だが、このオケにはお誂だろう

ようはピアノニスト次第でなんとかなるのだ

管楽器は奏者の絶対数が少ないからまともに演奏できる奴も必然的に少なくなってくるが、ピアノは趣味でやってる人間も含めれば、大人だけでも奏者はかなりいる。故に期待できる。

そう思うのも、実際俺の周りには音大出てなくても相当な腕をもってる人がかなりいるからだ。

オケに呼ばれるくらいなら尚のことだろう


オケの入場の後、真紅のドレスを身にまとい、女性のピアニストが入ってきた

背が高くスラっとしていて真紅のドレスが似合ってかっこいい、顔は遠目で見えないが多分綺麗な顔だろう

まぁ 演奏とは関係ないけど

プロフェールを見ると武蔵野音大卒でコンクール歴は無し。そんのは演奏とは関係ない、魂がこもっていればそれでいいのだ


ショパンのピアノ協奏曲、技術的な面ではブラームス ラフマニノフに次いで難曲だと思う

でも、オケに呼ばれるくらいだから、安心して聴いていられるだろう

俺はそう思った・・・・・


演奏が始まり、嫁いわく、表現力が乏しいと辛辣ならご意見

コンサート慣れしてない感はあるが、まだ聴けるし、ルックスでカヴァー出来てると、これは男の意見


一楽章も半ば、いよいよ難所、エチュードのオンパレードのような技工的な部分に差し掛かる

音が・・・

潰れてる・・弾き切れてない

ミスタッチが多いのはまだOKとして、隣の音と音が繋がってしまうのは力みすぎて指がついて行けてない証拠

それだけではない、たまに演奏が止まりそうになるのだ

しかしこれはオケ。止めるわけにも行かずに無理やり弾き飛ばす

あの世のショパンもびっくりして生き返りそうな演奏である

もはやジャンルはポルターガイスト

ミスを繰り返せば繰り返すほどテンパって益々演奏は崩れていく

もはや俺の目には何も写っていない

ショックを受けたちびまる子の様に白目になってるからだ。バックの背景はもちろんアレだ

オケも相変わらずだし・・・まともに伴奏も出来ないようだ


二楽章、目を閉じればマブタの裏には夕日の映える湖で、鳥達が戯れているような甘美で優しい光景が浮かび上がる、まったりとした楽章だ

しかし。。。これではメスを取り合うガチョウの喧嘩だ

管楽器で静かな音を出すのは難しいし目立つ

「バボ ぶふぉ~ ぶぶぶ ブッヒー」表現するのも難しいような音をだしてくれる

もういい、そこに大きなスピーカーがあるから、CD掛けてくれ

これじゃ宴会のかくし芸大会だぞ

もはや3楽章は記憶にない、というより記憶から消した

小学2年生の頃にウンコ漏らしたことや、5年生の時滑り台にまたがってたアユミちゃんのスカートの中に間違えて頭から突っ込んで「エロザエモン」というあだ名を付けられた不名誉な記憶より先に消したかったのだ


最後の曲はブラームスの交響曲第二番

すごく好きな曲だし、これ目当てで来たのに・・・・

管楽器だけではない、ビオラも変な音出し初めたし

しかも3人同時にだ

意味が分からない

後半に行けば行くほど、一人間違えれば女子の連れションのようにつられてミスり、ジェンガの如き崩壊してゆく

もし、これがモグラ叩きゲームで、間違えた奴をピコピコハンマーで殴るゲームだったら、腕2本では足りない、千手観音を連れ来る必要がある

仏の顔も、第二次世界大戦前から数えても足りないであろう


あ~誰か蒸しタオル持ってきてくれ

顔をオッサンのように思いっきり吹きたい

眉間に寄ったシワに汗が溜まって吹き溜まりが出来てる はい ここは車通れませんよ!


これじゃ交響曲というよりは交通渋滞である

もはや管楽器の音は渋滞でイラついたドライバーのクラクションにしか聞こえないし、さながら指揮者は交通整理する警察官だ

そこのホルンを逮捕してください

そして、極めつけの出来事・・・

4楽章のまさに演奏が終わるその瞬間、「はんがぁーーーーー!!!!!!」と断末魔の叫び声が聴こえてきた

俺はまたトロンボーンが酸欠で息絶えたのかと思ったが、嫁の話によると、前の方に座っていたオッサンがずっと演奏に合わせて鼻歌を歌っていて、最後に音程が一気に上がったときにムせて叫んでしまったらしい

演奏が終わったあとは、オッサンの断末魔の叫び声が手伝って、拍手に黄色い声が混じっていた

というよりは、黄色い声に拍手が混じっていた

もはやこのコンサートはギャグだ


そもそもこのコンサートはアマオケで1000円という低料金コンサート

別に期待はしていなかったけど、普通の演奏が聴けると思っていた

でも、よくよく考えると今まで行ったコンサートは1万円~がほとんど

世界的に見ると無名に近い日本を代表するN饗や日本フィルが、いかに凄い集団かと言うことを身を持って体験出来た

高いのには訳があるんです


嫁の妹の誕生日を祝ってやろうと二人で連れてきただが、妹が実に気の毒である

でもなにやら楽しそうだし、俺は俺で久しぶりのブログのネタになったので

別にいいか