非常に狂っている作品であり、はっきり言って気持ち悪い部分が多々あります。
まず大前提として、登場人物の大半が狂っています。S君は犬猫を殺していますし、ミチオはおじいさんを殺してますし、おじいさんは犬猫の手足を折っています。まともな人間が一人もいません。
最終的な結末としては、大体がミチオの妄想だったという結末になります。トカゲを妹のミカに見立てたりしています。そうやって現実逃避しないと精神が持たなかったことが伺えます。
そして、ミチオは家に火を放ちます。もう全てめんどうくさくなって、この物語を終わらしたかったのでしょう。そんなミチオの精神状態がわかるセリフがあります。
「僕だけじゃない。誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか。自分だけの物語の中に。その物語はいつだって、何かを隠そうとしてるし、何かを忘れようとしてるじゃないか」
ミチオの例はかなり特殊ですが、多かれ少なかれみなさんも自分の都合の良いように物事を解釈しているのではないでしょうか。本当は自分が悪いのに、他人のせいにしないと自分が保てなかったり、認めたくない現実からその事実をなかったことにしようとしたりすることは誰にだってあると思います。
個人的には別に現実逃避しても良いのではないかと思います。あまりに現実を直視しすぎると、メンタルが壊れる可能性があるので、事実から逃げる選択は悪いことではないように思えます。
しかし、すべての事柄から逃げると、人生を棒に振ることになるので、そのあたりは調節が必要なのかなと感じました。