本作は人間対自然という構図で紡がれています。サンは自然側だと認識しました。

 

その他には、生と死について表現していると思います。シシ神は頭と胴の二部分に分かたれましたが、その分かたれたものはまた繋がれ、シシ神は一つになりました。

 

つまり、生と死は一緒に存在するものであり、決して分かたれるものではないということです。生と死を二分するから、人々が憎しみあい、戦争を起こしてしまうということを言いたいのだと思います。

 

だからといって、この考え方通りに行動し、戦争をやめることはなかなかむずかしいことだと思います。そもそも戦争は自国の利益を守ったり、上げたりするために行われます。

 

だから、他者のことを考えて戦争はやめようという浅いメッセージではないと思います。死生観といったもっと概念的な観点で作品を作っているのだと思います。

 

人間側の目的は、シシ神の首をとることです。なぜとろうとするのかというと、おそれがあるからです。何かを祀っていないと不安だったり、おそれがあるから首をとろうとするのです。

 

死=おそれではないことを宮崎駿監督は言いたかったのではないかと思います。