言わずとしれた名作です。本作のテーマとしては「命を賭して叶えたい願いはあるか?」です。

 

普通の人間なら自己利益のために願いを叶えようとするでしょう。例えば「男女ともにモテるような人間になる」とか「遊び相手に尽きない人間になる」とか「億万長者になる」などでしょう。

 

しかし、本作の登場人物は人のために願いを叶えようとしています。だから、非常に利他的で優しい人間たちが多いなという印象を持ちました。

 

個人的には杏子が好きです。父親のために魔法少女になりましたが、結局そのせいで父親は自殺した悲惨な過去を持っています。

 

だからこそ、上条を助けようとしたさやかにきつく当たります。

 

まどかは「魔女が存在しない世界をつくる」という願いのため、円環の理となり、その代償として誰の目にも触れられない存在となります。願いの大きさによって、代償の大きさも変わってくることを学びました。

 

ほむらもまどかを救うため、何度も時間遡行しているので、非常に健気な女の子だといえます。魔法少女になるには、条件はいらないです。願いと覚悟があればいつでもなれます。

 

これは、現実世界でも同じことがいえます。今の仕事をやめるか、続けるかという選択も結局「◯◯という仕事につきたい」という願いと、仕事をやめる覚悟が必要です。

 

しかし、魔法少女と我々人類でちがうのは、「後戻りができる」という点です。魔法少女は一回魔法少女になったら二度と元には戻れないですが、現実世界では何回でもやり直しがききます。

 

そして、グリーフシードを集めるため、つまり生命維持のために戦い続けなければなりません。これは、現実世界で言うところの仕事をして食い扶持をつなぐことにつながります。

 

魔法少女は孤独です。他人のために願いを叶えようとしたのに、その人が自分から離れてしまうというのはなんとも可哀想です。

 

つまり、目指すべきところが高ければ高いほど周りに人はいなくなっていきます。しかし、それは自分で選んだ道なので、文句はいえないです。

 

孤独を極めたまどかでも、ラストシーンでまどかをおぼろげに覚えている家族の姿が映し出されます。そして、その後のシーンでメッセージが映し出されます。

 

「忘れないで。どこかで誰かが、いつもあなたを応援している。その存在を感じているかぎり、あなたは孤独じゃない。」

 

素晴らしいラストです。まどかは物理的には孤独かもしれませんが、本当の意味では孤独ではないといえます。

 

本作で特に良かったセリフを紹介したいと思います。

 

「その人を助けたい」という想いと、「その人の恩人になりたいから助ける」という気持ちは別物である。」

 

前者と後者、双方行動としては全く同じですが、前者は利他的で、後者は利己的です。心の底からその人に貢献したい思いが大切だと思いました。

 

伏線もかなり多く、メッセージ性もかなり強い作品です。だからこそ、社会現象にもなったのでしょう。