個人的にかなり好きな映画です。

 

被害者家族と思われた青柳悠人は、過去に吉永友之を友だちとともにいじめたいた加害者であったり、加害者と思われた八島冬樹は被害者であったりといった転換がなされています。これはミステリーでよく使われる方法です。

 

水泳部顧問が「うそをついてごまかす」ことを教えていなければ、杉野が青柳武明に嘘をつき、その上で殺すことはしなかったでしょう。青柳悠人も薄々水泳での事件と自分の父親が殺された事件が繋がっていたことはわかっていたと思います。

 

しかし、根本的な問題から目をそむけ続けたせいで、問題は肥大化していきました。自分に非がある問題と向き合う作業は非常にしんどいでしょう。

 

しかし、その作業をしていないと、いずれさらに大きな災難に見舞われることを本作で示しています。「現実逃避」というものを徹底的に否定している作品だと感じました。

 

ここからは作中のセリフを紹介していきたいと思います。

 

「事件ってのはガン細胞のようなものだ ひとたび侵されたら苦しみは周囲に拡がる」by 加賀 恭一郎

 

事件に関わった人だけの問題だったものが、その人の大切な人にまで問題が及ぶことを加賀恭一郎は示しています。実際、青柳悠人の妹は自殺未遂を起こしています。

 

個人的に一番好きなセリフは以下のものです。

 

「世の中甘く見ているようなら安心だ どこにも光が無いと絶望しているより」by 加賀 恭一郎

 

世の中にはネガティブな情報がはびこっています。不登校、リストラ、自殺、いじめ、離婚、詐欺、逮捕、ハラスメント。

 

ネガティブな情報の方が広まりやすくなるらしいです。だから、みなさんにネガティブバイアスがかかるのは、当たり前だといえるでしょう。

 

そんな世の中で、どんな状況になっても一筋の希望を持って生きる人が増えてくれたら私は幸いです。私も希望を持って生きようと思います。