若林正恭さんの日常のエピソードが、オムニバス方式で紹介されています。

 

個人的に刺さったのは、「性格とは形状記憶合金のようなもので元々の形は変わらない。」と部分です。私自身性格診断のツールの一つであるMBTIをして、自分が該当する性格の欠点を洗い出し直すよう意識していたのですが、すぐ元の自分へと戻っていきました。

 

自分の経験と本の内容が噛み合ったので、この文言は信憑性があると感じました。漫画『亜人』のセリフである「お前はそれでいい」を思い出しました。

 

私は無駄に分析をしたり悩んだりする時間が多いので、非常に本書の内容は刺さりました。そして、自分以上に繊細で考え込むタイプの著者の存在が私にとってある意味安心材料でもあります。少々言葉は悪いですが笑

 

「感じ方を変えなくてもいいんだよ。隠蔽でいいんだよ。」というセリフも刺さりました。隠蔽という言葉は悪い言い方をすると、腹黒と見られるかもしれません。

 

しかし、曲がった見方をする人間が社会に適応するには、そういった腹黒さも必要だと感じました。しかしながら、私は隠蔽が非常に下手なので、曲がった見方をする人間の中でも特に生きにくい部類なのでしょう。

 

人生に意味がないからこそ、「せっかく」だから楽しいことをするという著者の割り切り方も好きです。ネガティブなのかポジティブなのかよくわからない考え方です。

 

自己ベストを更新し続けることが良い結果より自信を生むという考え方も共感しました。人より良い結果を出した時は安心感に近い気がします。いわば心の中でマウントを取っている状態です。

 

自己ベストを更新した時は、安心感より充実感を感じます。いわゆるリア充に近い感覚を持ちます。私は人生の中で安心感より充実感を感じて生きていきたいものです。

 

しかし、「安心も欲しい」という感情もあります。人間はつくづく欲張りです。

 

「ちゃんと降参して、理想を追う道から諦めよう。おそらく、それが正しい。だって、ちょっと降りてみたら今日がくっきり見えてしょうがない。」

 

本セリフも好きです。私は未だに理想を追っています。漫画『亜人』の主人公である永井圭や、龍が如くの登場人物みたいな不屈の精神で成り上がる人間に強烈に憧れていたりしています。

 

でも、多分永遠になれないんです。なれないけど、理想を追って見栄を張ってがむしゃらに頑張る姿を自分の生きざまという一つのパッケージとして送ることは可能ではないかと考えました。

 

しかし、この考え方は完全に他者承認の考え方な気がするので、理想を追うのはやめようと感じました。見栄を張ったり、頑張り続けたりも一つの生き様だとは思いますが、他者承認を求めすぎると、自分の本来の生活が見えなくなる感覚があります。

 

その感覚を言語化したのが、「今日がくっきり見えてしょうがない。」というセリフなのでしょう。

 

無駄に虚勢を張ったりすることの無意味さを本書を読んで感じました。「自分にとっての普通でいい」ということを学びました。