著者は自分の内面について考え続ける人なのだなと感じました。考え続けても結果は大して変わらないというのが私の持論なのですが、考え続けた結果、物事の真理にたどり着いているので読んでいて面白かったです。

 

個人的に刺さったのは、「ナナメの殺し方」という章です。

 

今まで心のなかで馬鹿にしていた物事や事柄は、いつか自分もやる機会があります。それらを自分が経験する際、もう一人の自分が馬鹿にしている状況に陥りがんじがらめになってしまうという結末になってしまいます。

 

これは悪口にも同じことが言えると思います。例えば、誰かに嫉妬して悪口をいいまくって自分の嫉妬対象である人間を落とそうとする場合、いざ自分が出世してランクアップした際、「自分がこき下ろされるのではないか」という不安に陥ります。

 

性格の悪い人間は、そういった思考になると思います。つまり、性格が悪いと、いつだって刺し合いの勝負になります。

 

逆に性格の良い人間は、人をこき下ろそうとはしないので、「自分が出世したらこき下ろされるのではないか」という考えすら浮かばないですし、不安にとらわれなくなります。

 

これはすべての事柄でいえると思います。お金を盗む人は常に自分の財産が騙し取られないか気になりますし、腹黒な人は「自分は常に馬鹿にされているのではないか」と感じますし、パワハラをする上司だって「自分よりも上司にいじめられるのではないか」という思考に陥ります。

 

「悪人はいつか馬鹿を見る」という言葉がこの世に存在します。正直なところ、傍から見たら性格の悪い人は成功しているのかもしれません。

 

しかし、性格の悪い人の内面世界では、いつだって不安猜疑心に苛まれているのではないでしょうか。

 

なぜなら、自分という性格の悪い人間がいつだって自分を観測し続けているのですから。

 

「性格の良い人間にならないと、人間として駄目だよ」というつもりは全くありません。そんな道徳を説くつもりはありません。

 

ただ、「性格が悪いと単純に損である」と私は本書を読んで感じました。

 

本書は友人の勧めで読ませていただきました。友人に感謝します。