監督 | ガス・ヴァン・サント |
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脚本 | マット・デイモン ベン・アフレック |
出演者 | ロビン・ウィリアムズ マット・デイモン ベン・アフレック ステラン・スカルスガルド ミニー・ドライヴァー |
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良作です。感動しました。
天才的な頭脳を保有しながらも荒んだ生活を送るウィルに、心理学の教師であるショーンがカウンセリングを行い、心の傷を徐々に解きほぐしていきます。
ショーンはウィルにこう語っています。
「君は孤児だね?
『オリバー・ツイスト』を読めば、君の苦しみや君の感情、君が何者であるかが分かるのか?そこにすべて書いてあると?
私にはそんなものはどうでもいい。君から学ぶことは何もないし、本の受け売りを聞く気もない。
君が君自身のことを語るなら話は別だ。それなら私は喜んで耳を傾けよう。
だが、君はそれが嫌なんだろ?話すのが怖いんだ。君次第だ。」
私も正直ウィルと同様に理論武装してしまい、本の受け売りを話して悦に入るときがあります。それは自分の経験を語ることを恐れている証でもあると思います。
自分の自信のなさが理論武装してしまう行動を取らせるのでしょう。自分の自信のなさすら受け入れていく強さが大事だと感じました。
本作で「カウンセリングとは何か?」を知ることができました。
ショーンは何かウィルに対し解決策を提示するわけでもなく、ただただウィルを受け入れ抱きしめるという行動をとりました。
その際にショーンはこう言いました。
「君は悪くない」
この一言のみです。何でもない言葉ですが、この一言がウィルを救いました。
つまり、ウィルに必要だったのは、素晴らしい妙案ではなく「ちっぽけな自分を受け入れてくれる存在」だったのです。
ウィルは確かに天才であり、誰もが羨む才能を持っています。
しかし、ウィルは過去に里親に虐待され、見捨てられた経験があります。だから、ウィルの内面では「自分がまた見捨てられるのではないか?」という不安に苛まれます。
学生や社会人の間でも、嫉妬や羨望といった感情で渦巻いています。しかし、それらの感情を保有していることをみな口にはだしません。
なぜなら、それらの感情を自分で認めたくないからです。
嫉妬や羨望の対象になっている人も完璧な存在ではありません。外から見るとウィルのように成功していても、内面では違うというパターンがかなり存在していると思います。
そういった思考を保有していると、自分の周りの世界を少し俯瞰で見ることができると思います。
ラストシーンでウィルは一流企業への就職ではなく恋人であるスタイラーに会いに行くことを決めました。
この選択は一般論でいくと愚かな選択と揶揄されるかもしれません。しかし、ウィルが初めて自分から逃げずに選択をしたともとれます。
自分から逃げずに選択したことがある人は現実世界で少ないように思えます。
「世間受けがいいから、この大企業に就職しておこう」
「親がこう言っているから、こうしよう」
自分が選択していない選択肢だから、失敗してもその意見を提案した人に責任転嫁できるのです。
だから、スタイラーに会いに行ったウィルは、自分で人生の責任を負うことになります。しかし、この選択肢で失敗してもウィルが後悔することはないでしょう。
だって、自分で一生懸命選択したのですから。