ただひたすらにかっこいい漫画です。
アントニオ猪狩とマウント斗羽という名プロレスラー2人が戦うマッチが行われています。
試合での初めは、アントニオ猪狩が握手を求めるふりをして、不意打ちを決めるところから始まります。
「兵は詭道なり」を実現している人物だといえます。
ナレーションで以下の言葉が記されています。
「プロレスラーは技を逃げちゃいけない!!!敵の攻撃は全て受けてみせる!!!たとえそれがどんなに危険な技でも・・・・・・・・・ 受けきってみせる!!!」
私はプロレスについて全然わからないので、本作を通してどういった競技なのかを知ることができました。お互い技を避けずに受け切ることが絶対条件らしいです。「肉を切らせて骨を切る」という言葉がぴったりです。本作でもそういった言葉が使用されています。
アントニオ猪狩はマウント斗羽に対し「うらやましい」と発言した。マウント斗羽は恵まれた体格をしています。羨望の対象であることは間違いないでしょう。
しかし、マウント斗羽は「プロレスラー以外の選択はなかったのだ!!! 俺にも夢があった」と言い張ります。その夢とは建築家だったり教師だったり画家だったりしています。しかし、巨体を持っているせいで好奇の目から逃れられることはできなかったのだと主張しています。好きなものより、向いているものを職業にしたほうがよいという例でもあります。
しかし、ラストシーンで、ある事実が発覚します。実は死んだと思われていたマウント斗羽は生きており、パリで悠々自適に画家をしていたことが判明します。プロレスラーとしての誇りだけで終わるのではなく、あえて突拍子もないシーンで終わるというのがなんとも粋です。
素晴らしい作品でした。