桜井画門(著)
永井圭は冷酷でサイコパスな印象が強いです。しかし、自分が人体実験されている際、IBMを動かして医者たちを全員殺すことができたのにもかかわらず、それをしませんでした。なぜなら、ここで全員殺してしまうと、命をかけてくれた海斗に面目が立たないからです。このシーンから、永井圭にも情が深い部分が存在することがわかります。
中島啓介は永井圭が亜人だと発覚した後も、永井圭を心配していましたが、そのせいで彼女にふられたことを契機に、永井圭を心配するのをやめ、自分がおかしかったことに気づきました。自分の近しい人間を初め心配していましたが、時間がたつにつれて心配する気持ちが薄れていく展開が妙にリアルでした。
中村慎也事件は、断頭によるアイデンティティ崩壊と、フラッド現象の謎を提示するための材料です。しかし、断頭されても断頭以前の記憶は新しい脳に保持されているので、理論上は何も問題がないといえます。中村慎也の友達である裕介は、中村慎也がフラッド現象を起こすためのキーという役割でしかないと思います。