原作 | 虚淵玄 / TYPE-MOON |
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Fate/stay nightより空気が渇いている作品です。主人公の衛宮切嗣も何か大切なものが欠けている感じがします。敵である言峰綺礼もどこかネジが外れている人物です。切嗣は幼き頃にシャーレイを殺せなかった影響により、以下のような発言をすることになります。
「60億人の人類と家族2人… 僕は君を殺して世界を救う」
家族の命を懸けてまで、全体主義を貫こうとします。「正義の味方でありたい」と願う切嗣ですが、それはかなり抽象的な夢だといえます。家族の命を殺すと家族の正義の味方ではないですし、家族の命を救っても人類の正義の味方にはなりえません。そして、切嗣は人類の正義の味方になったのです。これは凄い決断です。なかなかできることではありません。正義の味方を志す人間が殺し合いの聖杯戦争に参加するという何とも皮肉な因果です。普通の精神状態だったら耐えきれないでしょう。だからこそ、切嗣は感情が欠落しています。そして、自己犠牲精神が半端ではないです。私だったら家族の正義の味方であることを選ぶと思います。