監督 押井守
脚本 伊藤和典
原作 士郎正宗『攻殻機動隊』
制作会社 Production I.G

 

かなり難解な作品です。TVアニメシリーズと違い、主人公にかなり焦点を当てている作品です。

 

 
草薙素子は「自分が人間なのか」という根源的な悩みを持っていました。脳以外を完全に義体化している状態なので、人間とAIの狭間という曖昧な存在だからこそ悩んだと言えます。
 
最終的に草薙素子は人形使いとの融合を承諾します。人形使いが自らの悩みを解決してくれると感じたから承諾したのでしょう。人形使いも「完全な生命体」になりたい思いがあり、「寿命」を欲しがります。人形使いは人間から見たら完璧な存在なのですが、当の本人はそうは思っていなかったようです。人形使いですら何かを欲するわけです。その事実は、世の中に完璧な存在などいやしないことの証明になりえます。
 
草薙素子は「自分が人間なのか」という悩みを持つと同時に、人形使いと融合することで「私が私でいられる保証がない」ことを恐れます。草薙素子は自らのアイデンティティがぐらつき、なおかつ変化を恐れています。そんな草薙素子に人形使いは「変化を恐れず成長しろ」といった意味のセリフを吐きます。私もこのセリフを胸に成長していきたいものです。融合することによって、お互いの欲するものを手に入れることができたわけですから、草薙素子と人形使いはWin-Winの関係になれたといえます。
 
本作はかなりの名作だといえます。続編であるイノセンスも視聴したいと思います。