ドストエフスキー (著), 亀山 郁夫 (翻訳)
出版社:光文社
面白い。物語としてちゃんと楽しめている。途中の長老との対話はよくわからなかったが、青空文庫版で読んだから、理解できなかったのであろう。光文社の亀山訳が非常に読みやすく、理解し易い。アリョーシャは非常に性格の良い印象を受けた。優秀かどうかはわからない。ドミートリーは、己の愚かさを自覚し、他人にそのことを話したりしているので、自分に似たところがあると感じた。イワンは、賢いが、冷笑的であり、観測する立場にずっと立っている。非常にいけ好かない。知識マウントもよく取るので、鼻につく。グルーシェニカは、無邪気すぎるがゆえに、性格が悪く写っている。多分、本人に悪気はない。カテリーナは個人的にあまり好まない。情緒不安定であり、実際に関わるとなると、非常に面倒そうである。ゾシマ長老は人間がどうあるべきかを追究している。そして、フョードルは作中一のクズである。正直見てられない。息子と同じ人を好きになったりしている。フョードルも情緒不安定である。フョードルをかばうアリョーシャは天使に見える。しかしながら、悪く言うと、単に事なかれ主義であり、穏便に問題を解決したいだけなのかもしれない。登場人物一人一人が非常に個性的である。著者は、はじめにストーリーのプロットを作っているというより、まずキャラ設定を作って、そのキャラが設定どおり動いた結果、このようなストーリになったという印象が強い。