死んだ人の人生と向き合う男の物語~おみおくりの作法 | Cecilia's Diary

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「聖セシリア」は、音楽の守護聖人。これにならって、音楽をはじめとする芸術や
伝統文化などを楽しみつつ、毎日を生き生きと過ごしている様子をつづります。
ライフワークとしてコーチングも勉強中。

シネスイッチ銀座で上映中の映画「おみおくりの作法」を観てきました。

以前本木雅弘さん主演で公開された日本の映画「おくりびと」の
イギリス版ともいえるこの映画は、亡くなっていった人を見送る仕事をする
ひとりの男の姿を描いています。

その男とは、ロンドン市ケニントン地区の民生係、ジョン・メイ。
彼は、身寄りのないまま亡くなった人の遺品を整理し、
彼らの縁者をなんとか探そうとあちこちを調べ歩き、
亡き人を弔うためにひとりでお葬式に立ち会います。

これは彼にとっての仕事ではありますが、彼は単なる仕事として
淡々とこなすのではなく、亡くなった人ひとりひとりに対する
愛情をもって対処していきます。

そんなある日、ジョン・メイの向かいに住んでいたひとりの男が亡くなります。
と同時に、事務的に処理をしない彼の仕事ぶりを苦々しく思っていた上司が
解雇を宣言。

これが最後の仕事だからと、ジョン・メイは今まで以上に
この亡くなった男を知る人を探しに出かけ、その男の人生をたどる旅に出ます。

行く先々で男の情報を得ながら、男の葬式をするから来てくれと
訴えかけます。

そのなかで、亡くなった男の娘と出会ったことで、
決まりきった日常を過ごしていたジョン・メイの生活に変化が出始めます。

まじめにていねいに仕事をするけれど、あまり自分を主張せず
地味な感じのジョン・メイがちょっとだけ喜びや楽しみの感情を
顔ににじませるところが印象的です。

このままハッピーエンドになるのかと思いきや、
実は最後に思いもよらないことが起こります。

これは観ていてかなり衝撃的なシーンでした。

その結果、ジョン・メイも運命は悲しい結果に終わってしまいますが、
彼の尽力により、向かいに住んでいた男のお葬式には
男の娘をはじめ、男にかかわる知人たち数人が集まって
ささやかに弔いが行われます。

でも、映画はここでは終わりません。
ジョン・メイはひとりぼっちではなかったのです。
彼が一生懸命心をこめてたずね歩き、たった一人で亡くなった人たちを
弔い続けた結果が、最後に現れます。

まるで身寄りなく亡くなった人たちが、ジョン・メイに対して
感謝の気持ちを伝えるようなラストシーンには、
あまりの感動に涙が出てしまいました。

人の命は大切なもので、命をなくしてしまえばなんの意味もない。
そう思いがちですが、そうではなく、亡くなった人を
最後まできちんと弔うところまでが、その人の人生なのだということを
この映画は伝えてくれます。

非常に地味だし、起伏に富んだストーリーでもありませんが、
この映画が連日満員になるほど人気があるのが
わかります。

人生について、また人の死について、
ちょっとたちどまって考えてみたいと思えた映画でした。