昨夜は、ユンディ・リのリサイタルを聴きにサントリーホールへ行ってきました。
彼の演奏を聴けるのは実に2年ぶり。
一昨年はちょうど尖閣諸島問題で中国政府からの圧力からか来日中止。
昨年は公演に気づいたときにはすでにチケット売り切れ。
というわけで、やっと、やっと彼の生演奏を聴く機会がやってきたのでした。
ユンディの演奏は、2000年のショパン国際ピアノコンクールで優勝したときから
「この人の演奏好き!」と注目していました。
そして、本来自分はクラシックのアーティストに対して、
あまり見た目とかをうるさく言うほうではなく、
とにかく質、つまりその人の演奏がどうか、表現がどうかということに注目して
演奏を聴くのですが、ユンディだけはなぜか別格。
「中国のキムタク」と当初呼ばれていたように、彼のルックスに
ひかれるファンがたくさんいますが、私もその一人。
なぜかユンディには、ミーハー心がうずくのです。
最近はかなり髪を短くして、今はやりの前髪をひさしのように長めにするなど
すっかり垢ぬけた感がありますが、以前の少し長めのスタイルのほうがいいなあ、
なんて思ったりします。
久しぶりに舞台の上に立つユンディを眺めてみると、
背は高いし、わりとほっそりしてるし、おしょうゆ顔だし、
やっぱりカッコイイ…。
もちろん、見た目だけを重視しているわけではなく、
彼の演奏も相変わらず大好きです。
前半はお得意のショパンから「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」
からスタート。
彼の演奏はものすごくクセのある演奏というより、むしろノーブルな感じですが、
どんな曲であってもとても情感豊かに、それでいてのめりこみすぎない
音楽と適度な距離感を保っているような演奏。
どんなに激しい曲を弾いていても、(もちろん途中で汗ふいたりしますが)
終わったあとはなにごともなかったような顔でお辞儀をする、
そのクールさがたまりません。(お辞儀の際も真顔で笑顔も見せないところが
逆にたまらないのです。)
続くベートーヴェンのピアノ・ソナタ「熱情」は、
かつて自分も演奏したことのある大好きな作品なので、
まるで自分が弾いているような感覚になりながらじっと聴き入ってしまいます。
曲中のちょっとした間合いとか、ふっと音色が変わるところとか、
すべてが「そうそう、そうなの、そういう音楽が聴きたかったの!」と
自分の思うようなタイミングで演奏されるので、胸がキュンキュンしました。
まるで、あこがれの人の演奏を遠くから眺めて悦に入っているような感じ。
なぜか、ユンディの演奏を聴いている間、心臓がドキドキしていました。
後半は、まずシューマンの大曲「幻想曲」。
第3楽章が終わったあとも、その曲の雰囲気と余韻をじっくり味わっているなか、
曲が終わったのに誰からもなかなか拍手が起こらないことにあせった
客席の誰かがためらいがちに「パチパチ」と手を叩いたので、
せっかくの静寂が打ち破られてちょっと幻滅…。
そしてラストはリストの「タランテラ」。
(巡礼の年第2年補遺「ヴェネチィアとナポリ」より)
最初から連打の連続で手がつっちゃうんじゃないかというほどの速さで
激しいタランテラのリズムを刻んでいました。
これだけの曲を弾いても、演奏の途中で顔の汗をぬぐう場面はありましたが、
(しかも真っ白な大きなタオルで!)
演奏が終わったあともクールな表情はくずさない。
演奏では情緒豊かでも、表情にはあまり感情を出さないみたいです。
本編の演奏終了後に客席から花束を持った女性が出てきても、
花束を受け取って一礼しただけで、握手もせず。
わりと冷たい感じを受けますが、これはユンディ流の礼儀なのかしらん。
そして、アンコールは
任光「彩雲」、ショパン「ノクターン第2番」、
ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ〈悲愴〉」から第2楽章、
青海民謡「遥か遠くのそのまた彼方」
と4曲の演奏してくれて大サービスでした。
ショパンとベートーヴェン以外の2曲は、どうも「レッド・ピアノ」という
中国の作品を集めたアルバムに収録されているみたいなので、アルバムを買ってきて
また聴いてみたいです。
次回はまた来年11月に来日予定だとか。
次回もぜひぜひチケットを取って生で演奏を聴きたいです!