大迫力の演奏に拍手が鳴りやまない~サイトウキネンオーケストラ-オーケストラコンサート | Cecilia's Diary

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「聖セシリア」は、音楽の守護聖人。これにならって、音楽をはじめとする芸術や
伝統文化などを楽しみつつ、毎日を生き生きと過ごしている様子をつづります。
ライフワークとしてコーチングも勉強中。

8月の最終日、夏の終わりに長野県・松本市まで
サイトウキネンオーケストラの演奏を聴きにいってきました。
昨年に続き、2回目です。
もちろん、指揮者は小澤征爾さんです。

昨年は松本市民芸術館で行われたラヴェルのオペラ2本を観ただけで
終わってしまいましたが、今年は演奏会だけに松本にくるのはもったいないな
ということで、演奏会前に松本市美術館に立ち寄ってきました。

たぐ展

まず最初に常設展の「草間彌生作品展」を見ました。
なかでも、「傷みのシャンデリア」という作品が印象的でした。
ガラスケースの中にこわれかけたように点滅する
ひとつのシャンデリアがあり、通路の両側の壁はすべて鏡。
実際はそう広くないけれど、ものすごく広い空間に放り出されたようになり、
道も自分の姿もいくつも鏡に映し出されるので、
自分がどこにいるのか、方向感覚を失いそうになり、
異次元空間に迷いこんだような気持ちになりました。

企画展として開催していたのは、「たぐ展☆」。
東京都在住の田口弘さんという現代アートのコレクターの方の所蔵品を
展示しているのですが、「たくさんの子どもたちにこの作品を見てもらいたい」という
田口さんの言葉から、松本市内の小学生に見たい作品を選んでもらい、
その投票結果とともに絵が飾られています。
ちなみに、展覧会のタイトルも子どもたちが考えたのだとか。

ポップ・アートの巨匠キース・ヘリングやアンディ・ウォーホル、
松本市出身の草間彌生など、現代アートの作家たちの作品の中から
子どもたちがいちばん見たいと選んだのは、マーク・クイン「The World Beginning」。

かなり派手なむらさき系の花が中心に咲いている鮮やかな絵です。

私が展覧会作品の中でいいな、と思ったのは、
ピーター・ハリー「ジョイ・ポップ」とジョナサン・モンク「アフター・スプラッシュ」。
「ジョイ・ポップ」は赤系のくっきりした色が、「アフター・スプラッシュ」は、
青と黄色系の同じくくっきりした色が結構好みでした。
色もさまざま、形も大きさもさまざまなバスが円陣を組んでいる
ジェレミー・ディッキンソン「国際バス駐車場」もそれぞれに鮮やかなバスの色が
気にいりました。

この展覧会には絵だけではなく、動画もあって、
ハンス・オブ・デ・ピーク「Staging Silence2」という
20分ほどのモノクロ動画がおもしろかったです。

大きな机のような台の上に砂や水、ペットボトルや木の枝などを配置して
時に窓から高層ビルが立ち並ぶ姿を見渡せるオフィスになったり、
はたまた小島の桟橋に小さな舟がつながれていたり、
草木が生い茂る密林になったりと、さまざまな景色へと移り変わるのです。
最後は角砂糖を使って、たくさんのビル群を造ったあと、
上からじょうろで水をかけて角砂糖を溶かしていく映像が流れましたが、
まるで廃墟と化した建物が次々にくずれ落ちていくような様が
廃れてしまった文化都市みたいに見えてぞくっときました。

さて、美術鑑賞を終えたあとは、いよいよサイトウキネンオーケストラの演奏です。

サイトウキネン

前半は、クラリネット2人、バセット・ホルン2人、オーボエ2人、ファゴット2人、
ホルン4人、コントラバス1人の計13人と小編成で指揮者なしの
モーツァルト「セレナーデ第10番〈グラン・パルティータ〉。

これだけ少人数にもかかわらず、ちんまりまとまらず、
特に木管の響きが美しい演奏でした。

休憩中は、ロビーでワインの試飲サービスをしていたので
赤ワインを選んで飲んでみました。
(ほんのちょっとの量だけど、酔っ払わないようにゆっくりゆっくり試飲)

そして、後半はいよいよ小澤征爾さんが登場。
前半にくらべて心なしか観客の拍手も熱いです。

昨年も、直前まで本人が指揮をするのか気をもみましたが、
今年も体調によっては代理の指揮者になるのでは…と心配しましたが、
無事に元気な姿を見せてくれました。

演奏はベルリーオーズ「幻想交響曲」。
5曲ありますが、1、2曲は続けて振ったものの、
2曲目から3曲目、3曲目から4曲目にうつる途中で
指揮台の横にあるイスに座り、第二ヴァイオリン奏者からペットボトルを
手渡されてしばらく休憩をとりながらの演奏でした。

何度か聴いている「幻想交響曲」ですが、2曲めの「舞踏会」は
やわらかくてなめらかな美しい演奏。
そして圧巻だったのが4曲めの「断頭台への行進」。
ものすごくパワフルな演奏でした。
続く最終曲「魔女の夜会の夢」もおどろおどろした
ミステリアスななかから、おそろしい魔女が現れるような、そんな演奏でした。

演奏が終わったとたん、われるような拍手が惜しみなく続きました。
そんな熱狂のなかで、昨年もそうでしたが、
小澤さんはオーケストラの団員すべての
ところに行ってひとりひとりと握手をしていました。

アンコールはないのに、拍手にこたえて何度も小澤さんたちと
オーケストラのメンバーが舞台に出てきてあいさつをしてくれました。

最後の最後はやはり同門の絆の強さなのか、
みんなリラックスした笑顔でお互いの演奏をたたえあい、
ねぎらっている様子が見えました。

サイトウキネンオーケストラは、個々がコンサートマスターとして
活躍できるほどの才能を持った精鋭の集まり。
その演奏能力の高さもさることながら、同門の絆の強さも
感じられた演奏でした。

チケット取るのも大変だったし、チケット代も決して安くはありませんが、
やっぱり今年も聴きにいってよかったです。

1992年にスタートしたこのサイトウキネンフェスティバル、
今年で30周年を迎えるそうです。
斉藤秀雄先生の没後40周年を迎えることもあり、
これを区切りとして来年からはセイジ・オザワ松本フェスティバルと名を変えて
新たなスタートを切るそう。

来年もまたどんなプログラムで聴かせてくれるのか楽しみです。