先週金曜日はクラシックソムリエ検定講座第3回目に参加してきました。
今回のテーマはロマン派後期。
講師は丸の内朝大学ラ・フォル・ジュルネクラスでもお世話になった
オヤマダアツシさんです。
まず最初にイギリスの作曲家、ヴォーン・ウィリアムズの「チューバ協奏曲」と
オーストリアの作曲家、アルバン・ベルクの「管弦楽のための3つの小品」を
聴かせてもらいました。
この2つ、ヴォーン・ウィリアムズのほうが1954年、
アルバン・ベルクのほうが1915年。
前期ロマン派か後期ロマン派か、だいたい1950年あたりがさかいめ
ということですが、作曲年が古いベルクよりも、ウィリアムズのほうが
オーソドックスな感じに聴こえるから不思議です。
古そうで新しいウィリアムズと新しそうで古いベルク。
後期ロマン派といっても、ここからが後期ロマン派だ!とはっきり
区分けするこえおはできないのです。
さて、後期ロマン派のテーマは「さらなる発展と多様化の時代」。
古典派の時代に「ソナタ形式」をはじめとする音楽の形式ができあがり、
19世紀に入って前期ロマン派の時代になると、
人間の感情を音楽で描こうという流れに呼応した曲が作られるようになります。
モーツァルトの交響曲は「リンツ」や「ジュピター」など
名前がついていますが、それは後世の人がつけたもので、
モーツァルト自身がつけたのではありません。
でも、ベートーヴェンは初期のころはつけていなかったものの、
「エロイカ」などは自分で名前をつけたそう。
このあたりから自身の曲にタイトルをつけるようになっていきます。
(もちろん、タイトルのないものもありますが)
そして、後期ロマン派になると、さらに音楽における感情が
クローズアップされるようになり、標題音楽も増えていきます。
ここで、モーツァルトとヴェルディそれぞれのレクイエムから
「怒りの日」を聴きくらべました。
この2つのレクイエムの違いは、まずモーツァルト神への祈りのために作曲し、
(依頼人は正体不明)一方のヴェルディは友人であるイタリアの文豪、
アレッサンドロ・マンゾーニ追悼のために書いていること。
そして、ヴェルディの時代のほうが演奏する場が大きくなった
(コンサートホールなど)ために、音量を大きくする必要があり、
必然的にオケの編成が大きくなったことにあります。
このヴェルディをはじめ、ワーグナーやプッチーニがドラマティックな
オペラを生み出したのも、この後期ロマン派の時代です。
ちなみにヴェルディ、ワーグナー、プッチーニ、それぞれのオペラの特徴があり、
ヴェルディは、人間ドラマがテーマ。そしてときにオーケストラが歌手の声を
支えたかと思うと、オケと声が対立したりと、オーケストラと歌手を対等に
扱うスタイル。
ワーグナーはテーマとして神話など歴史的なものを取り上げている。
プッチーニは、歌手が泣いているように歌うとオーケストラもいっしょに泣くように
奏でられる。つまりオーケストラが歌手といっしょにメロディを歌う。
ヴェルディやワーグナーのオペラには序曲がありますが、
プッチーニは序曲を書いていないのも特徴的です。
さらに、後期ロマン派の時代である19世紀は、産業革命により
機械技術が飛躍的に高くなった時代でもあります。
なので、金型の技術が発展し、それによって楽器の発達・発展へとつながりました。
特に管楽器は、現代ではすでに残っていないようなさまざまなものが
19世紀当時は製造されていたようです。
(ワーグナーチューバもこの当時にワーグナーが「ニーベルングの指環」上演の際に
編成に取り入れた楽器だそう)
こういった楽器の発達・発展により、作品が長大化し、たとえばマーラーの
「千人の交響曲」のような壮大な作品ができあがったりしたそうです。
また、神聖ローマ帝国の力が弱まったことで、今までオーストリアやドイツなどに
支配されていた国々が独立宣言をしたことにより、
音楽でも自分たちの民族のアイデンティティを示そうという運動がスタート。
これが、いわゆる「国民楽派」となっていきます。
たとえば、スメタナ。当時オペラといえばドイツ語の歌詞があたりまえだった時代、
スメタナは自国のチェコ語のオペラを作ったり。
ドヴォルザークは、スラブ系民族風の音楽として「スラブ舞曲」を作ったり。
フィンランドのシベリウスは、カレワラというフィンランドに伝わる叙事詩にある、
英雄物語を使って「レンミンカイネン」という組曲を作ったり。
最後に聴いたビゼーの「カルメン」は、フランスの作曲家がスペインの音楽を取り入れた
画期的なオペラで、ジプシーという民族的なものを扱っていますが、
初演当時は失敗作だったのだとか。
なぜなら、当時はジプシーという身分に対する偏見があり、
ジプシーを扱ったオペラなんて、という見方をされたそうなのです。
今では、カルメンに出てくる音楽はほぼすべてといっていいほど有名なのに…。
こんな盛りだくさんの話で1時間半の講座はあっというまに終わってしまいました。
後期ロマン派は、国の力関係や産業革命などによって、
今までとは状況が大きく変わったことによって、さまざまな新しいもの
チャレンジングなものが表れた、クラシック戦国時代とも言える時代だったのですねー。