アンコールではサプライズが!~ヨーヨー・マ ソロ・リサイタル | Cecilia's Diary

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「聖セシリア」は、音楽の守護聖人。これにならって、音楽をはじめとする芸術や
伝統文化などを楽しみつつ、毎日を生き生きと過ごしている様子をつづります。
ライフワークとしてコーチングも勉強中。

昨日は、サントリーホールにてチェリストのヨーヨー・マさんの
リサイタルを聴きにいってきました。

以前、この方がピアソラを演奏したCDを聴いてから
一度生演奏を聴きたいと思っていましたがなかなかかなわず、
今回やっと聴くことができました。

プログラムはすべて無伴奏の曲ばかり。
前半は今年没後50年を迎えるヒンデミット「無伴奏チェロソナタ」、
20世紀アメリカの作曲家、グラス「オービット」に続き、
バッハの無伴奏チェロ組曲第4番と第5番を。

後半は中国ののどかな大草原を思わせるような
チャオ・チーピン「草原の夏」に続き(このチャオ・チーピンは、
チェン・カイコー監督作品『紅夢』や『覇王別姫』などの
映画音楽も担当している作曲家)、

バッハの無伴奏チェロ組曲第6番を演奏。

前日にも彼のリサイタルがあり、そこでバッハの無伴奏チェロ組曲第1番から
第3番までを演奏したようなので、2日続けて無伴奏チェロ組曲全曲を演奏されました。

バッハはそのあまりの美しい音色に思わずうっとりと夢の世界に足を突っ込んでしまい、ところどころ記憶をなくしてしまいましたが、とても優しく豊かで
すばらしい演奏でした。

前半だけですでに20時半近くまであり、さらに後半の演奏を終えると21時を
とうに過ぎてしまいましたが、それでも客席からの熱いラブコールにこたえて
アンコールを1曲、カザルス編の「鳥の歌」を弾いてくれました。

このアンコール演奏で登場したときに、
ヨーヨー・マさんが手に持っていたチェロをクルッとまわして裏側を
見せてくれると、そこには青空にまっすぐ伸びていく1本の木の絵が!

「このチェロは…」と簡単な英語で説明してくれたのですが、
舞台から遠かったせいか、うまく聴きとれず、
あとで調べたら、なんとそのチェロは、東日本大震災の津波で被害を受けた
住宅に使われていた木を使って、東京のヴァイオリン製作家がつくったものなのだとか。

また、魂柱と呼ばれる内部の大切な部品にあたるものは、
岩手県陸前高田の海岸で津波に流されずにたった1本だけ残った一本松が
使われているそうなのです。

このような経緯を持つチェロで奏でられた「鳥の歌」は、
とてもせつなく、温かく、国は違っても故郷をいとおしく思う気持ちは
万国共通であることを感じさせてくれました。

本編の演奏もすばらしいですが、東日本大震災にちなんだチェロで
この「鳥の歌」を聴くことができたことは、本当によかったです。