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パーソナリティを科学する 特性5因子であなたがわかる
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人間には永続的なパーソナリティ傾向があり、それによって
さまざまな状況でその人がどのように行動するか、ある程度まで予測できるというもの。
このパーソナリティを5つに分けて「ビッグファイブ」と呼んでいます。
すべての人間はこの5つのパーソナリティにそれぞれ対応するスコアを
出すことができ、そのスコアからその人物が一生を通じて見せる行動傾向について
多くのことが見てとれるんだそうです。
で、このパーソナリティというのは遺伝的に受け継いでいるものらしいのですが、
親や先祖から受け継いだ遺伝子ということは、ある意味生まれたときから
自分の行動の傾向というのは、ある程度決まってきているのかもしれません。
この本では、ダーウィンの進化論の対象となったフィンチという鳥の
くちばしになぞらえて、人間の遺伝子と環境についての関係性についても述べています。
ガラパゴス諸島にフィンチという鳥が存在しているのですが、
同じフィンチという鳥の種類であっても、存在している島によって
生息するフィンチのくちばしにそれぞれわずかに違いがあることにダーウィンが気づいた。
すべてのフィンチはすべて共通の祖先に由来しているけれど、
住みついた島の生息環境に最適なくちばしのサイズに最も近い個体が
ほかの個体とくらべて生き延び、子孫を残す大きなチャンスを持った。
また遺伝子は突然変異を起こして違う種を生み出し、
その結果、より環境に即した生命体が淘汰されて残ることにより、
異なる生息環境間での生物の違いが生じたというわけなのです。
このフィンチのくちばしと同じように、人のパーソナリティ特性も
親から子へと伝わる。
しかし、生存する環境によってその環境で生きやすい生命体としての
性格が強化されるのではないか、というのがこの本が考えるパーソナリティです。
フィンチのくちばし以外に、グッピーとシジュウカラの行動特性についても
とりあげています。
グッピーの天敵にパンプキンシードという魚がいますが、
天敵の少ない川に住んでいるグッピーは、
天敵が多い川に住んでいるグッピーにくらべると
天敵に対する警戒心が低く、天敵に食われやすい。
でも、天敵が多い川に住んでいたグッピーを少ない川へ
もっていくと、数世代のうちにその警戒心のレベルが下がってしまう。
またシジュウカラを森に放って飛びまわる様子を観察すると、
速い探索タイプのシジュウカラは活動的に飛び回り、
遅い探索タイプのシジュウカラはその場に釘づけになる傾向が見られた。
そして、速い探索タイプから生まれたシジュウカラは、
やはり速い探索タイプで遅い探索たいぷより離れた土地で新たに繁殖した。
こういった研究結果から、生物は遺伝的にもつ行動因子があり、
ある環境のもとではその行動因子が有利であるし、
別の環境のもとではその行動因子が不利になるかもしれない。
その環境に適したものが淘汰されて生き残っていく。
ここで人間のパーソナリティに戻ると
5つの因子は、外向性、神経質傾向、誠実性、調和性、開放性。
外向性は、ポジティブな情動の反応にみられる個人差。
コアメカニズム:報酬への反応
利益:報酬を求め手に入れることの増強
コスト:肉体的な危険、家族の安定欠如
高い人は反応性が高く、快感を手にするために必死になる。
低い人はポジティブな情動システムの反応が低いため、快感を手に入れる心理的利益もない。
神経質傾向は、ネガティブな情動にかかわっている。
コアメカニズム:脅威への反応
利益:警戒、努力
コスト:不安、うつ
高い人はネガティブな情動に反応しやすいので、現実の脅威となりそうなものの
見込みがわずかであってもそれに反応して警鐘をならす。
悪いことがあれば、それはすべて自分のせいなどと悪い解釈へともっていく。
低い人はネガティブな情動に反応しにくいので、それほど強い影響を受けない。
誠実性は良心や道徳といったもの。
コアメカニズム:反応抑制
利益:プランニング、自己抑制
コスト:融通のなさ、自発的反応の欠如
高い人は、たとえば目の前の報酬をがまんして長期的な利益を得ることができる人。
ただし、あまり高いと変化に対応しきれなかったり、
完璧主義に陥って人とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、
摂食障害を起こすことがある。
低い人は目先の利益にとらわれて、ギャンブルやアルコールに依存しやすい。
また、この誠実性と知能の高さの関連性はわずかにネガティブで、
頭が切れやすい人は誠実性が低くなりやすい。
知能が高ければ誠実性をあまり発揮しなくても生き残っていけたという
環境要因に根ざしているよう。
調和性は他者の心理を類推して共感できる能力。
コアメカニズム:他者への配慮
利益:調和的社会関係
コスト:ステータスを失う
高い人は他者の心の状態に注意を払う傾向があり、他者を助け調和的な対人関係を築く。
低い人は自己中心的で冷淡。あまりに低いと精神病質(サイコパシー)と呼ばれる
異常者となる。
開放性は文化や知性、経験への知的好奇心の強さ。
コアメカニズム:心の連想の広がり
利益:芸術的感受性
コスト:拡散的思考
高い人はあらゆる種類の文化的、芸術的活動に興味をもつ。
たとえば本だけとか映画だけとか1つのジャンルに限らず、
本も映画も音楽にも絵にも、というふうにすべてのものに対して知的好奇心が強い。
開放性は想像力と芸術性を追求する才能とその創作に関連していて
もっとも開放性が強くなると詩人や芸術家となる。
低い人は、同じ文化活動でもそれほど努力を必要としないものを好む。
このように人の持つパーソナリティについて解説してきたこの本、
最後にはパーソナリティにおける遺伝的構成要素はほぼ50パーセントで、
あとの50パーセントは受け継いだ遺伝とは関係ないもので、
おそらく環境ではないかと推測するけれど、まだ十分にはわかっていないと述べています。
自分の持って生まれた特性は、今の自分を形づくっているものの50パーセントであり
その部分は変えられない。
でも、自分のパーソナリティを意識することで、現象化される行動面では
少し変化することができるのではないか。
自分のパーソナリティの強みを活かして、弱点からくる影響をできるだけ小さくする。
そのためには、自分のパーソナリティを自覚することが必要。
「自分を知る」ということはとても大切なことです。
この本の巻末にビッグファイブを診断するテストがあります。
自分がやってみた結果は、
外向性 中~高
神経質傾向 中~高
誠実性 高
調和性 中~低
開放性 中~高
でした。
なんとなく自分を表してるな、という実感があります。
自分のパーソナリティが遺伝的なものだけで100パーセント
決定づけられるものでないならば、
自分を知ることで、よりより人生を送ることが可能になるのではないか。
そんな期待を持たせてくれる本です。