副作用らしいものを確認した頃。
私は悩んでいた。
 
別の先生だったら娘をどう治療するのかな?
 
プロアクティブ療法においては、部分的に再発したとき、全身塗れって言わない先生もおられることを知った。
 
3か月に1度、近くにある元かかりつけ病院を受診しているので(これはアナフィラキシーなどの緊急事態に対応してもらうために必要な受診である)、そのかかりつけ先生に相談したりもした。
その先生は、
”1か所だけ悪化してすぐ治るなら部分でOK。
いろんなところが同時に悪化してくるなら全身塗る方がいい。”
というお考えだった。
 
やはり世間では部分治療が標準なのでは…?
じゃないとしても 娘にとってはそっちの方が合ってるんでは…?
 
分からんけど……。
 
また、これとは別の悩みもあった。
食物アレルギー。
娘は検査の結果、乳の特異的 IgE が500超だったんだけど、それを見てタカタ先生は経口免疫療法をやった方がいいんじゃないかな?と仰った。(強く勧めるとかではなく。)
 
私は、ブレる。
 
(いばるとこじゃないけどな。)
 
先生の一言によって、カンタンに 「じゃあ、やろっかな…。」
と思ってしまう方である。
しかしやってみて悪い作用が出たりすると、途端に人のせいにしたくなる
自分で決断したコトなのに…。
 
熱意があり、治療に前向きなタカタ先生と話していると、
「経口免疫、やろっかな?」
に傾くし、一方でこの頃には論文引いたりして、〇〇という良くない反応が△%起きるとか読んでしまっていたので
「やっぱりやらない方がいいのかな?」
と思ったり。
さらにその頃、娘は2回立て続けに乳成分の誤食をした。軽い症状で済んではいたけど、今後どうしたものか、毎日本当にブレていた。
 
もう一人、相談してみたいなぁ。
 
いきなり先生を変えるなんてリスクが高すぎる。タカタ先生は ちょっとステロイドの使い方に疑問がある他は、とても穏やかな良い先生だ。いつも質問には丁寧に答えて下さるし、私の変な主張も受け入れて下さった。また時には私のアトピーにも「〇〇を使うといい」などとアドバイスを下さる。
こんな先生、いる?!
 
しかも!!!
 
私の肌は、先生の教えてくれたビタミンDのおかげで (あくまで間接的に、娘の治療の中で私が勝手に試しただけだけど) ものすごく改善している。
この改善ぶりはどのくらいかというと、十数年前に初めて行ったマニアックな皮膚科を100とすると、30か、もしかしたら40ぐらい行くかもしれない。
40って、自分にはスゴいレベル。
100が人生変わった!!!と思うぐらい。
30~40でも人生ちょこっとは変わったかもと思う。
人目にはそんなに変わらないけど、本人の気持ちが前向きになるぐらいの変化だった。(そういえば、久々に会った友達に「肌キレイになった!オーラも変わった!ダンナさん長期でいないとこんなに変わるんだびっくりびっくりびっくり!」と驚いてくれたけど、ビタミンDのおかげだったんだよ。多分。をつけとこウシシ!)
 
こんなに、こんなに私のアトピーに貢献してくれた先生に、刃向かうなんて。
 
つまみ食いができたらいいのに。
 
医師の、つまみ食いができたらいいのに。
 
病院は、おしゃべりクッキングとは違う。(…て、してないか!)
びよういんとも違う。(今日はデートだから気合いのトップスタイリスト!次回は新人で🆗みたいなね。)
同じ病院内で一度別の医師に相談したい、なんてよほどのことがない限り言えない。
 
ここらへんではこの病院が一番なので、他院へ行くのは意味がない。行くとしたらめっちゃ遠くの病院になり、仕切り直しになる。論外。
曜日も、今の曜日が最も通いやすい。
 
ちょっと、つまみ食い、無理っぽい。
でも……。
 
私は非常に汚く、卑怯な手を考え始めていた。
 
ともかく、次の受診日がやってきた。

娘の多毛だったらしい毛が減って来たのを確認して初めての受診だ。

 色々考えることもあったし、本当に緊張する。
「これ多毛ですよね」て言っても大丈夫かなぁ。
気を悪くされたらマズいなぁ。
でも事実は事実やし。
 
言お!
 
でも 言えるタイミング、あるのかな。
はぁ 順番次だよ。もう心拍MAX。
深呼吸したり、立って軽く腕回したりしてた。
軽く怪しい人だった。
 
呼ばれた。
 
タ 「こんにちは。どうですか?」
私 「はぁ。まあ、時々再発はありますが何とか落ち着いています。あと…。こないだの、やっぱり多毛だったと思うんです。減ってきたので、写真、見ていただけますか?」
 
( 言えた!)
 
タ 「そうですね…。ちょっと薄くなってますね。」
 
( 認められた! 何ともあっさり!びっくり)
 
私 「8年間で一番濃かったからほっこり。」
タ 「アトピーの子は搔いていると毛がなくなっているんですよ。」
私 「そうですよねほっこり。」
 
まるーく解決爆  笑
(多分。。。先生も大人だからね。)
 
タ 「今、週何回ですか?」
私 「週2回です。」
タ  「そろそろ、ステロイドをやめてみましょう。」
私 「うーん。やめられる気がしないんですけど…。」
タ 「お母さんはちゃんと塗れているから。そろそろやめられる時期と思うんです。一度やめてみないと分からないですよ。」
私 「はい…。」(ちゃんと塗れていない気が…。てか、ワタシなりに頑張ってはいるけど、ムスメがやる気ゼロで…あせる
 
その後、プロアクティブって難しいですね…。
という話をした。
良い状態だからといってやめてみると、炎症が根っこまで抑えきれてなくて再発するかもしれないし、再発が怖いから とずっと週2回とか続けていると、空塗り(勝手に名付けたけど、必要ないのに塗っている状態ね)になってしまう。
見極めはとても難しい。医師の腕の見せ所でもある。ただ受診は大体2ヶ月に一度。なので親の自分が判断することが求められる。
 
食物アレルギーについても、いろいろ教えて下さった。先生は卵アレルギー(アナフィラキシーはなく、少しは食べられる)の方を早く解決に導きたいようで、負荷試験をやろうとおっしゃった。3割負担だと伝えると、
タ 「入院は高額になるから、本当はいけないけど外来で。僕が外来の合間にちょこちょこ見るから。」
 
とまでおっしゃって下さった。
 
こちらの費用の負担まで考えて下さるなんて!!!びっくりびっくりびっくり
 
親切すぎる。
 
診察室を出て時計を見ると、1時間ほど経っていた。
1時間も。1時間も私(=変な母親)の為に割いてくださった笑い泣き
これは先生を変えるなんて とても言えない。
 
その日はあまりの親切さに、途方に暮れながら帰途に就いた私だった。
 
ステロイド、ほんまに切れるんかいな…えー の部分は 引き続き暗雲のまま……。
 
そして、裏では本当に汚く、卑怯なやり方でつまみ食い計画を実行に移そうとする私であった。