土曜は3kmの個人タイムトライアルでしたが、日曜は140kmのロードレースです。
落差がすごいですね。
140kmの方は公式にはグランフォンドなのですが、まあロードレースですね。
走行距離140km、獲得標高2300m、楽しそうなコースです。
初めての参加で何もかもよく判らない状態です。
事前に試走にも行けず、ぶっつけ本番で不安しかありませんでした。
そんなときの先生は、いつもYouTube。
四時間超の動画を上げて下さっている方がいて、何回か見てコースの雰囲気を叩き込んで来ました。
サインだけ忘れないようにさっさと書いて、特に前に並ぶこともなくお話を聞いたりワイワイしてたらすぐスタートしました。
って字で書くとなんてこと無さそうですが、わたくしこの一週間ずっと神経質になってて、この本番前は超緊張しておりました。
自転車のレースで緊張するのは本当に久しぶりで、ヒヨッコだった頃を思い出して新鮮です。
さて、まずはパレード、密度がそんなに高くないので全然怖くないです。
先頭でレースをしたいわけではなかったので、無理に前に上がることもなく、淡々と進みます。
なかなか終わらないなあ、とか、審判車上りでも緩めないなあ、とか、パレードのまま一個上るのかな、とか。
パレードに飽きてきた頃にリアルスタートが切られたようで、集団の速度がガツンとあがりました。
上りの真っ最中です。
いきなりの上り、先頭集団について行ったらそこで足が終わってしまうので、すぐに先頭とはお別れ。
トップレベルの走りに単純に「すげーなー」って感想しか出てきません。
たまたま横にいたチームPのしんさんに「先頭ハンパないって!」と最近はやりのワードを投げかけると、しんさんから「むーりー」と、これまた最近はやり(?)のワードが帰ってきました。
行けない集団で上っていると、自然とグループができました。
ゴールまで長いお付き合いになりそうな人たちをよく見て、走りの特徴を掴みます。
道も広いし密度も小さいし、とりあえず危ない人もいないし、走りやすかったです。
YouTube先生が教えてくれた情報と受付したとき貰った危険箇所マップの情報を照らし合わせると、30分くらいから始まるダウンヒルが超要注意のようです。
そこそこ上ってから始まったそのダウンヒル、ビビりながら下りました。
去年DのSさんが吹っ飛んだっていうコーナーも、「SLOW DOWN」の看板とそこに立っているスタッフさんのおかげでかなり前から確実に減速して入れました。
なるほど、看板が出てきたら減速すれば良くて、人が立ってたらもっと減速だな。
ちなみに参考にさせてもらっていたYouTubeの動画にはSさんらしき人が吹っ飛んでるところがたまたま映っておりまして、初見では「えええぇえ!?」と声がでてしまいました。
さて、何度か上ったり下ったりしながら集団は小さくなり、やがていよいよニセコクラシック最大の山場、パノラマラインへ突入です。
斜度はそうでもないけど30分以上上るので、できるだけ省エネで、ついでに隙を見て補給食を食べながら進みます。
攻める必要は無くって、気を使って休むペダリングを心がけました。
身体のいろんな場所を使いながら、ダンシングも混ぜながら、そして辛いときは素数を数えます。
ずんずん進むと、七~八人の脚の合う小集団が出来上がりました。
旭川方面のチームBの選手が二人と、旭川RRTのM年さんがいて、知ってるジャージってだけで心強かったです。
M年さんが「のづさんですよね!覚えてますか!?」「しばらくレースに来てませんでしたよね?」って話しかけてくれて、逆に俺なんかのこと覚えててくれて嬉しかったです。
皆さんに助けられながらパノラマラインを九割登った頃、旭川方面チームBの方(黒のDEROSA、以下黒D)が、みんなで回して下ろう、できれば下りで前に追いつこう、と積極的に提案して下さいました。
黒Dはかなり社交的で、外国の選手にも話しかけてました。
まあ、通じてたかどうかは判りませんが…
やがてKOMまで1キロの看板が出てきて、黒Dの「これでニセコクラシックは終わり」発言があり、みんなで残りの1キロを「長かった」「上れないと辛い」「終わった終わった」と、道半ばにして謎の開放感を味わいながら進みます。
ここからは平坦屋の俺の出番です!ガンガン引いたるわ!と言いたいとこだけど、ここに残ってる人たちはたぶんみんな平坦屋だろうなあ。
パノラマラインは雲の中で、周りは何にも見えませんでした。
そんな中なんとかようやくKOM通過、やがて待ちに待った下りが始まりますが、雲の中で真っ白、何も見えません。
せっかくだから景色が見たかったな。
下り始めは50m先も見えないくらいの濃霧だったけど、SLOWDOWNの赤い看板が無ければ気をつけることもないと思ってガンガン下りました。
雲の中を進んで行く気持ちのいいダウンヒル、やがて雲の下に行くと視界が開けて、遠くまで見えるようになってきました。
七人で始まったダウンヒルも少しづつ大きくなっていき、下りきる頃には20人くらいになってました。
途中では魂のライバル、プラザのKさんも吸収できました。
吸収したときKさんは2人で下ってて、Kさんでもパノラマラインで振り落とされるのか…
さて平地、少なくない人数で回すけど、いまいち速度が上がりません。
大人数で落ち着いてしまうと、一人ではどうしようもないんですよね。
少しでも速度を上げたくて、自分の番には踏むんだけど、「速すぎる」って言われりして。
いやあ、この辺もロードレースなのよ。
あと4~5人連れていければ、この集団から逃げられるな、と、平坦屋を探してローテ番崩したりしながらチャンスを伺いますが、そんなチャンスは来ませんでした。
この区間が一番楽しみだったので、不完全燃焼で少し残念、でも単独よりははるかに良いし、これはこれで楽しかったです。
いつの間にか元恵庭のTさんが後ろから合流してて、前にいた選手を沢山吸収したのもあって、気が付けばかなりの大集団になりました。
こうなると、もう、ね、
楽しいサイクリングに突入ですよ。
まあでもじきに上りが始まるし、集団は消えてなくなるでしょう。
上りの前に、補給地点…の前にスプリントのホットスポットがあったかな。
こんな後ろの集団じゃ当然、別に何事も起こらず淡々と通過しまして、補給地点まできました。
気温があまり高くなかったこともあって、二本持ってきてたボトルの中は思ってたよりも残していたけど、二本とも捨てました。
緑の網に向かってボトルを投げます。
カッコいい!プロみたい!(笑)
あっと気づいて、食べちゃった補給食のゴミも投げ捨てます。
カッコいい!プロみたい!(笑)
…えーさて、補給も不安の一つではありました。
うまく受け取れるかな?他の選手に接触しないかな?落ちてるボトルを踏んづけて転けたりしないかな?などなど。
でも今回は全体的にかなり速度がゆるんだので、難なくボトルを貰えました。
冷たい水がありがたかったです。
さあ全員準備は良いか、いい加減サイクリングはおしまいにしようぜ!
…と言いたいところですが、なかなかねー
この辺にくると70kmコースの選手を追い抜く頻度も増えてきて、まあまあ前に気を使って進みます。
小さい丘を越えたりしながら集団はずんずん大きくなり、ついに来ました。
レースをしている選手たちには一番の勝負所、新見の上りです。
ここにいるような俺達には、長くて辛いただの坂。
ここで集団から離されたら最後まで単独になるだろうと思ってた、って言う点では、自分にとっても勝負所に違いはないですね。
離されたくないって一心で、Kさんについて上ります。
まあキッツいけど行けるかな、フィニッシュはKさんと迎えて、ゴール後に健闘を称えて抱き合うんだ、と、ゴールシーンまでの展望が鮮明に見えたそのとき。
来ました。
左足の太ももに。
お迎えが来てしまいました。
やばいここでつったら終わってしまうと、ごまかしごまかし行くけど…むーりー
M年さん、黒Dさん、Kさん、Tさん、平坦で一緒に頑張ったみんな…パノラマラインから一緒だった初期メンのみんな…ありがとう…さようなら…
ああ、行ってしまう…泣きそう…寂し…くない!
痛てえ!痛くて泣きそう!
とにかく!足が!痛てえ!!!
名残惜しい離別は一瞬で終わり、でも目の前には新見の上り、左足はろくに力を入れられない状態です。
できるだけつりを進めないように気を使ってたら、案の定右足もつりまして。
しかも汗が目にダバダバ入ってきて染みて痛いし、ここの上りはさんざんでした。
単独のせいか、つったせいか、もう脚が無いせいか、思ってたよりもずいぶん長い上り。
黒Dよ。どこで何が終わりだって?え?
こんなボヤキも、誰にも届きません。
ゆっくり上ってじゃんじゃん抜かれて
「ついてきて!」とか言われながら抜かれたり(いや無理だし…)
「あ!のづさん!?」とか言われながら抜かれたり(いや誰だよ…)
もう上りで前に進んでることが奇跡ってくらい、両足がつってます。
かるーくゆっくりと回して進んで、落ち着いたら腰を上げてみたりして、しばらくしたらなんとか普通に動かせる程度にはなりましたが、上りではまたつりそうで力を入れたくない感じ。
なんとかかんとかゆっくり進んで、新見の上りもようやく終了、KOMまで一キロの看板が出てきました。
看板に励まされてやる気もアップ、新見KOM通過!さあ楽しい下りの始まりだぜ!…と思ってたら…まだしばらく上ってる…
KOM…KOMとは一体…
いつ終わるかしれない上り(斜度は緩い)をヒイコラ上ってると、二回目の補給地点が来ました。
なるほど、補給地点の為にKOMを少し手前に設定したのか、と、なんだか納得して、今度は水のボトルを一本だけ交換して、両足と首に冷たい水を掛けました。
下りが始まったのもあってやる気はここに来て最高潮、前を追ってガツガツ進みます。
つりの影響はほぼなくなり、単独で解き放たれたようにガンガン下ってますと、前方に元恵庭のTさんが二人で下ってるのが見えて、まずは二人を目標にドバーッと、すぐにキャッチできました。
「ついて!ついてきて!(=下りきったら前をひいてねお願いよ)」と叫んでズバーッと下ります。
チラッと後ろを見ると、ついてきてるついてきてる、いいぞいいぞ。
この三人でゴールまで行けそうかな、と下りきったら、すぐまた上りが…
えーまたのぼるのー、とぼやきながら上り、Tさんと「天気良いですねー」とか、とぼけた会話をしていると、気が付いたらTさんを千切ってしまってました。
ここからは完全にソロ。
上ってもソロ。
下ってもソロ。
緩めてTさんを待とうかとも思いましたが、あえて「Tさんに追いつかれたら負け」と設定しまして。
ソロだと気を使うこともほぼなくて、あまりの退屈さに「追い抜いた人たちのゼッケン番号を足していく」っていう計算問題をしながら進みます
次の人が四桁番台なら5万越えるなぁ、って思ったときにふと気が付きました。
追い抜いているのはだいたい70kmクラスの選手たち、ひょっとしたらチームの誰かに追い付けるんじゃないか?
M浦さんは一番に帰るだろうな。
Kんさんか姐さんか、と聞かれると…姐さんか。
姐さんに会いたい!コースの上で!
こうなると足し算は終了、ターゲットは赤いジャージの選手です。
赤いジャージを見つけてはやる気を出して追い抜いて、また赤いジャージをみつけて追い抜いて…と、そうこうしているうちに残り20kmの看板がやってきました。
この辺もうずっと上ったり下ったりしてるんですよね。
まったく、どこで何が終わりなのかよく聞いとけばよかったな、こんちくしょう。
平均だいたい30km/hで進んでたので、残り20kmってことはあと40分でおしまい。
途端に寂しくなってきました。
遠くには羊蹄山が見えて、戻って来たんだな、と思い知らされます。
20km、10kmと残り距離が減るにつれ、町が賑やかになって沿道の応援も増えてきます。
残り5キロあたりからは立ち止まってストレッチしたりバイクを押したりしてる選手もいました。
自分も、足はつったけど、レースらしいことは何もできなかったけど、何事もなくここまで来られた運に感謝しながら進みます。
一つだけ心残りなのは、ゴールが単独になること。
誰かと一緒にここまで来て、ゴール後に語り合いたかったな。
ラスト1キロ、何度か走った知ってる町並み、土曜日にも走った場所、坂の下のローソン…
ああ、ついに終わってしまう。
最後のグランヒラフへの坂、チームのみんな、早起きして付き合ってくれた奥さんと大ちゃん、先にゴールしてたお友達選手、みんなの声に押されるように上って、ゴールにたどり着けました。
ああ、楽しかったあ。
ゴールゲートの向こうは、ずいぶん前にゴールしたであろう涼しげな人、ぶっ倒れてる人、右手にビール左手にウインナーの人、みんな様々、やりきった顔をしてました。
少しウロウロと、パノラマラインから新見まで一緒だった初期メンのみんなを探しましたが、見つけられずでとても残念です。


スタート前、余裕そうに見えますが

ゴール目前、余裕ですね



ニセコクラシックの後は、お約束のサッポロクラシックですよね
140kmコースの記録:出走459人、完走355人、棄権104人
のづさんの記録:時間4時間28分39秒、完走355人中223位
まあ中の中ですね、実力を思い知らされます。
スタートが6時35分でしたので、ゴールは11時ちょい過ぎ。
一方終盤ターゲットにしてた見えない姐さんは
8時10分スタートで2時間40分走ったそうなので、10分以上前にゴールしてたようです。
とても楽しく雰囲気も最高で、また来年も絶対に出たいレースです。
今年は4時間28分でしたので…目標は大きく、一割短縮!ってことは4時間ちょうど!!!?行けるかな…
パノラマラインで一緒だった黒Dさん、もう一人のチームBさん、M年さん、今度レース会場で会ったら、この健闘を称えて語り合いましょう。
そして言うんだ。
「どこで何が終わりだって?え?」